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THKのプロジェクトとはどのようなものか?
Project Story 開発編 ロボットハンド開発 宇宙空間で人間の手の動きを実現する。国家プロジェクト、高精細高出力ロボットハンド開発。 技術本部 事業開発統括部 永塚 正樹 2006年入社

JAXAが認めたTHKの技術力 しなやかで力強い、人間の手のようなロボットハンドが実現

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 「本当に宇宙で動いてくれるんだろうか」。ロボットハンドの納品まで残り1ヵ月を切った。永塚はJAXA(宇宙航空研究開発機構)に入り浸って日夜検証試験を繰り返していた。
 思い返せば企画から2年間はあっという間だった。国際宇宙ステーションにある船外実験プラットフォームで使われるロボットハンドの開発プロジェクトに参加することになったのは、THKの機械要素技術と次世代ロボット向けアクチュエータの研究成果が評価されたからだった。産業用ロボットなどでは、回転系のアクチュエータの組み合わせで動いているものが主流なのだが、モータを各間接部分に使うため部品が多くなってしまい、大型化しやすい傾向がある。また、コストや消費電力という点でも改善の余地がある。
 「ロボットを追及すると人間の身体に似てくる、人間の筋肉の収縮は直線運動ですよね」ボールねじを手にして、永塚は言う。THKのロボットハンドは指にボールねじを組み込むことで、モータの回転運動を直線運動に変換し、ちょうど人間の筋肉の役割を果たせるようにした。このプロジェクトでは、ロボットハンドの大きさを宇宙飛行士のグローブのサイズにしなければならなかったが、ボールねじの採用により、コンパクト化が可能となったと同時に、最大握力30kgと力強く剛性が高い、そしてしなやかで正確に動く、まさに人間の手のようなロボットハンドが実現したのだ。

立ちはだかる宇宙の壁 地上との違いを挙げていけばきりがなかった

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 現状、宇宙での船外活動用支援ロボットと言えば、巨大なロボットアームが中心で、取手のついた大きな物体を引っ掛けて引き寄せるというような単純な作業以外は難しい。今回のプロジェクトは、通常は宇宙飛行士が行う、小さな物体を移動させる作業や電動工具を使った作業をロボットハンドによって自動化しようというものである。成功すれば、「にぎる」「つまむ」などの動作がロボットで可能となり、将来宇宙空間だけでなく、産業用ロボット、介護ロボットなどの分野に幅広く利用が見込める。
 ロボットハンドを宇宙に持ち込むのは、世界で初めてのこととなるが、宇宙空間で使用するためのハードルの高さは永塚の想像をはるかに超えていたという。宇宙空間ではわずかな廃棄物も出すことが許されない、マイナス50度という超低温環境に対応しなければならない、ロケット発射時のすさまじいGや衝撃にも耐えなければならない。そして、真空状態の宇宙では、ゴムや樹脂はガスが発生してしまうため使用できず、グリースも発塵してしまう。地上との違いを挙げればきりがなかった。

実証実験に明け暮れた日々。THKの技術がついに宇宙へ飛び立つ

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永塚は彼のメンバーと一緒に、JAXAでの実証実験に明け暮れていた。クリーンルーム、真空環境下、加振機での振動実験など、環境や手段も多岐にわたる。使用素材の変更や試作を何度も繰り返した。「あと10g削って欲しい」、軽量化に対する要求も厳しかった。最後の1週間はほとんどJAXAに泊り込みで最終調整を行った。極低温下の試験で減速機の動きに課題が見つかり、最後まで壁が立ちはだかったが、微細なチューニングを行うことで何とか乗り切った。ロボットハンドは無事JAXAへ納品された。THKの技術が初めて、宇宙に飛び立つことが決まったのだ。
 高精細、高出力、コンパクト、これらを兼ね備えたロボットハンドは世の中に少ない。THKのロボットハンドは業種や業界を超えて注目されていて、義手として応用できないかというような声も寄せられている。

将来は、ロボットに必須なアクチュエータとシステムを作っていたい

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「個人的には、2025年ぐらいには次世代ロボット産業ができているんじゃないかと思う。そのときはロボットに欠かせないアクチュエータとシステムを提供する企業になっていたい」
 「ロボットはエンジニアの総合商社みたいなものです」という永塚は、制御系の開発にも熱心だ。機械要素部品、モータやセンサをネットワークに接続する制御装置の開発も手がける。例えば、窓、カーテンやシャッターの開閉部分などにアクチュエータとこの制御装置を設置して、それらをネットワークにつなげ制御することで、住宅環境がより安全、快適で省エネなものになる。「つまり、家のロボット化を進めているんです」。近い将来、外出すると自動的にドアや窓が施錠する、通風のために自動的に窓が開閉するというようなことも当たり前になるのかも知れない。

エントリーはリクナビから

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