Skip to Contents

7THKスピリットとは何か? Made in Japanは数あれど、Born in Japanは少ない。日本発のFA技術であるLMガイド。その画期的な製品はどのようにして創造されたのか。創業時の技術史を振り返りながら、 今なお脈々と波打つTHKのプロダクト・アウトの精神を紐解く。

第二章 米国を驚嘆させた日

米国からの逆輸入 世界トップクラスの工作機械メーカーがLMガイドを採用
 1978年9月29日、日刊工業新聞にビッグニュースが掲載された。「あっ!日本製玉軸受が…」の見出しで掲載された記事の内容は、米国K&T社がTHKのLMガイドを搭載した新型マシニングセンタ(複合数値制御工作機械)をシカゴで開催された国際工作機械見本市に出品したことを伝えるもの。同社はマシニングセンタの元祖で、当時、世界のトップクラスの工作機械メーカーだっただけに、日本の工作機械業界に大きな衝撃を与えた。
 国際工作機械見本市はまさに工作機械のオリンピック。ここで世界の先陣を切って、リーダー役のK&T社が採用したのだから、ニュースにならないわけがなかった。機械製品といえばほとんどが米国製か欧州製の時代。日本で生まれたものを欧米のメーカーが使うなど考えられなかった。そんな時代にK&T社がその性能を高く評価し、次世代の戦略機種に採用したのだから、反響が大きかったのも当然だった。実際このLMガイドを搭載したマシニングセンタは、500台でベストセラーといわれた時代に、1200台以上販売された。
市場は日本だけではない 世界を見据えた深慮遠謀
 ところで、K&T社はTHKのLMガイドの存在をどのようにして知ったのだろうか。そこにはTHKの深慮遠謀があった。これからは国内のみならずグローバルな市場が相手になる。そのためには工作機械でリードする米国へのアピールが欠かせない、そう考え、米国の機械雑誌「マシンデザイン」に広告を掲載し続けていたのである。その広告にK&T社の設計担当者が目をとめたことがきっかけだった。
 だが、まだ知名度もない、創業間もない日本のTHKという会社の製品がなぜ採用されたのだろうか。おそらく、K&T社は半導体や航空機部品用のアルミなど、新しい材料の加工に高性能の新型マシニングセンタを投入する戦略だったのではないだろうか。そのためには、機械内の案内部分を抜本的に見直し性能の向上を図る必要があった。米国企業は会社の売上高や規模、知名度などではなく、コンセプトや技術力、製品の性能を基準に選ぶ。だからこそ、「LMガイド」という新技術に白羽の矢が立ったのだ。
「LMガイドを使用した高精度マシン」がうたい文句に国内でもわき上がった大反響
 もちろん雑誌広告やダイレクトメールによる訴求は国内でも行っていたが、ほとんどといってよいほど反応はなかった。業界が保守的な体質であったこともあるが、鋳物や鉄を削る工作機械が主体で、当時としては新しい材料の加工という市場がまだ生まれていなかった時代を考えると、LMガイドの登場は少し先を行き過ぎていたのかもしれない。
 だが、米国企業に認められたことによる反響は瞬く間に日本に上陸し、問い合わせの電話が殺到することになる。国内の工作機械メーカーのTHKを見る目は大きく変わったのである。そして製品とともに、自社設備で使用することで蓄積したLMガイドの使用方法やノウハウを工作機械メーカーに伝授していく。やがて、各メーカーのパンフレットには「LMガイドを採用した高精度マシン」がうたい文句となっていったのである。

To Be Continued(第三章に続く)

エントリーはリクナビから

リクナビ2019