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CLOSE UP エンジニア

リニアモータ用サーボドライバ 電気系の先輩
開発背景
THKはLMガイドを代表とする機械要素部品メーカから出発し、今やリニアモータ組込のアクチュエータまで揃えたメカトロニクスのメーカに発展しました。
このリニアモータには、サーボドライバと呼ばれる駆動制御装置が必要となります。リニアモータアクチュエータはダイレクトドライブ駆動(※1)、フルクローズド制御(※2)である為、サーボドライバにより性能が左右されます。
より高性能なリニアモータアクチュエータを実現する為にも、サーボ技術を社内で確立することが必要と考えました。

※1. 機械的減速装置を用いず可動部にモータを直結して直接駆動させる方式
※2. リニアスケールなどを使用し可動部の位置情報を直接読取る方式
 
技術・製品の特長
 
工作機械などの装置の制御部は一般的に図1に示すような構成となります。サーボドライバは上位機器(コントローラなど)からの指令通りにリニアモータを駆動させる制御装置の事を言い、サーボ制御技術が必要不可欠となります。
サーボ制御とは時々刻々と変化する目標に対して、制御対象を追従させていく制御手法です。上位機器から指令される目標値とリニアモータアクチュエータの動作結果とを比較し、その誤差量が少なくなるように制御を行うことをフィードバック制御と呼びます。図2で示すフィードバック制御を具体的に説明します。
装置制御部構成図(図1) フィードバック制御の構成(図2)
位置指令(目標位置※1)から現在位置(※2)を減算し位置誤差量を求め、位置制御器にて速度指令を算出します。次に、位置制御器から算出された速度指令(目標速度)を現在速度(※3)で減算し速度誤差量を求め、速度制御器にて電流指令を算出します。速度制御器から算出された電流指令(目標電流※4)を現在電流値(※5)で減算し電流誤差量を求め、電流制御器にて電圧指令値を算出し、モータへ電圧を印加し駆動させます。順次マイコンで制御を行うことにより、位置の誤差量がゼロとなり、結果として可動部が目標位置へ到達し、モータは停止し位置を保持する事となります。各制御器は、スムーズに目標値に到達させる為、比例制御(※6)、及び、比例積分制御(※7)を用い、高性能化実現のためにベクトル制御(※8)を搭載しています。制御部はマイコンの高性能化に伴い、ワンチップマイコン(オールソフトウェアサーボ)で実現しています。
また、モータへ供給する電流を制御するには、印加電圧を変化させる必要があります。サーボドライバ内部では、供給されたAC電源(交流)を、ブリッジダイオードと平滑コンデンサにてDC電源(直流)に変換し、モータへの供給電圧源としています。これを実際のモータへの駆動電源に変えるには大別して、アナログ方式とデジタル方式があります。アナログ方式は、抵抗やレギュレータなどが必要となり、余計な電力を消費するため効率が悪く、また、平滑コンデンサの充放電の影響により、電圧を早く変える事が困難であるなどの理由から、当社ではデジタル方式で電圧を変化させるPWM方式を用いています。PWM(Pulse Wide Modulation:パルス幅変調)とはその名の通り、一定電圧源に対し、パルス幅のONとOFFの比率を変えて印加電圧を変化させる方法です。OFF期間はスイッチを切り、不要な電力消費をせず発熱が押さえられるため、電力変換効率が良く、サーボモータ駆動に適していると考えています。
以上、リニアモータを駆動する為に必要なサーボ技術の基礎を簡単に説明しました。

※1. 上位機器から指令される目標位置
※2. リニアスケールから読取り算出した可動部の現在位置
※3. リニアスケールから読取った位置の変位量
※4. モータへ流す電流値
※5. 電流センサから読取ったモータへ流れている電流値
※6. 比例制御は偏差(誤差量)に比例させて操作量を変える動作。
※7. 積分制御は偏差(誤差量)を足していき、その値に比例して操作量を変える動作。
※8. 励磁電流成分とトルク電流成分をそれぞれ独立に制御し、ベクトル空間上で合成し、実際に与える電流を算出する制御
将来展望
自前のサーボ技術の確立により、リニアモータを駆動する事が可能となり、将来を見据えた上で、大きな核ができたと言えます。現在のサーボ技術に、今まで機械要素部品メーカとして培ってきた技術を搭載し、より高性能なリニアモータアクチュエータを実現できると考えています。