2023年11月01日
製品
リニアモータの仕組みを解説!特長と活用例について
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国内の製造業は、少子高齢化に伴う労働人口の減少が深刻化しています。ある調査によると、2030年には日本の就労世代である16~64歳までの人口が、現在より1,400万人も減少すると指摘されています。このままでは人手不足はさらに加速し、日本経済が衰退するのは明らかです。製造業においてこの課題を解決するには、省人化を実現できるファクトリーオートメーション(FA)が必要不可欠となります。その中でも半導体の製造装置や検査装置、自動車部品の製造装置、二次電池製造装置などにおいては、さらなる生産性の追求が課題となっております。
今回は、このようなファクトリーオートメーションの中でもさらなる生産性の向上、変種変量、フレキシブル生産など、今後さらに活躍が期待される「リニアモータ」についてご紹介いたします。リニアモータといえば、JR東海のリニア中央新幹線が、超電導磁石を利用した磁気浮上方式で注目を浴びています。FAで利用されるリニアモータとは方式が異なりますが、特長は同じです。このようなリニアモータがFAの世界でどのようなメリットがあるのか解説いたします。そしてTHKが提案するリニアモータシステムについてもご紹介いたします。
リニアモータは回転モータを直線状に引き伸ばしたもの
リニアモータの構造は、一般的な回転型モータを直線状に引き延ばしたもので、磁石のN極とS極が交互に直線状に配置されています。
このリニアモータのコイル部分に電流を流すことで交番磁界を発生させ、磁気吸引力や反発力から直進方向の駆動力を得ています。
リニアモータを駆動源とすることのメリット
昨今リニアモータは半導体製造装置、二次電池製造装置、自動車部品組立工程、各種搬送装置などあらゆる機械装置に対して幅広い分野で使用されています。リニアモータは、ボールねじなどの駆動システムと比較して以下の特長があります。
①高速移動
ボールねじ駆動では、ねじ軸の固有振動である危険速度とDN値の制限があります。特にストロークに応じて速度を上げることが困難となります。リニアモータではこのような制限がないため、ストロークが長くても高速動作が可能です。
②低騒音・低振動・低発塵
非接触構造駆動で推力が発生するため、ねじ軸の回転や転動体の循環による振動が発生しません。そのため、低騒音・低振動を実現できます。また、ボールねじなどで危惧されるグリースの飛散の問題もありません。
③マルチスライドが可能
1軸ベース上に複数のスライダをセットし、スライダを個々に制御できます。例えば、1軸ベースにスライダを6個搭載してそれぞれ動作させることもあります。
④ロングストローク
リニアモータは磁石を接続することで長いストロークにも対応可能です。(※ストローク分の位置を検出するセンサ/リニアエンコーダは必要となります)
2mを超えるストロークもつなぎあわせることで可能となります。
弊社においては数十mのストロークに対応している実績もございます。
THKが提案する「スケールレスリニアモータシステム」
「スケールレスリニアモータシステム」は、位置を検出するリニアエンコーダを使用せず、駆動用のマグネットを磁気目盛りとして磁気センサで読み取ることができます。リニアエンコーダを使用しない分、製品コストを抑えることも可能です。コストを抑えることにより、従来ラック&ピニオンやベルト駆動で構築されていた搬送用途にも幅広くご使用いただけるものとなっております。特に長尺の搬送用途においてはスケールがないため、LMガイドとベースをつなぐだけで簡単に長尺搬送を実現できます。また、モジュール化されているため、設計・組み立て工数も削減が可能です。
ぜひさまざまな用途でスケールレスのリニアモータシステムをご検討ください。アブソリュート仕様(高精度タイプ)ご要望の場合は別途お問い合わせください。
「スケールレスリニアGLMシリ―ズ」のページはこちら(THKサイト)