2023年06月07日
製品
機械部品メーカーが「生産支援事業」!?~ユニット装置のファブレス・ファブライト~
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機械要素部品が祖業のTHKですが、実はお客様のものづくりにおける解決手段として、機械・装置のある部分(ユニット)の生産を請け負う、または装置丸ごとを生産する“支援事業”も強化しています。本記事では、THKだからこそできる生産支援事業についてご紹介いたします。
THKのユニットとは?
案内部と駆動部で構成された「動きを司る塊(かたまり)」をユニットと呼んでいます。ユニット装置を完成させるためには、案内部の要となるLMガイド、駆動部の要となるボールねじやリニアモータなどの機械要素部品が重要です。
THKは、バリエーション豊かな各種製品群をラインナップしていますが、マイクロメーターレベルの高精度な位置決めを必要とする場合には、ベースやテーブルの形状、加工精度なども大変重要になってきます。また、高精度な装置を設計しなければならない場合、直動部や駆動部に何を選定すべきか、テーブルやベースの剛性をどのように保つか、設計通りの精度が実現できるかなど、考慮すべき点は多岐に渡ります。LMガイドやボールねじを取り付けるベースやテーブルといっても、求められる剛性や質量、コストなどとのバランスに応じて、製缶、鋳物、石定盤など最適解を見つけ選定する必要もあります。
私たちTHKでは、お客様の実現したいものづくりに応じて高精度・超精密なステージから、一般的な当社に対するイメージとは異なるかもしれませんが、アミューズメント・ゲーミングマシン、物流業界向け、食品や医療などの業種も含め 、実に40年以上もユニット製品を生産している実績があります。時にはTHK製品を使用しないユニット製品も生産し、幅広い分野にご提供しています。
生産支援事業について
高精度な精密ステージだけでなく様々なジャンルの装置を製作しているTHKですが、近年特にご依頼をいただいているのが「生産支援事業」です。
「生産支援事業」では、お客様から設計された図面をいただいて、当社で精度保証されたユニット製品を製造、納入します。もし製品の構想がお決まりでない場合は、THKからこれまでの経験・ノウハウを活かした提案をさせていただき、構想設計から仕様確定までお手伝いすることも可能です。このように従来の加工外注や組立外注にとどまらず、製品の構想段階からお客様と並走できる点が、「生産支援事業」最大の強みになります。
この背景にはお客様が抱える問題点として、
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熟練工の減少に伴い高いスキルを有するものづくりが困難
- 市場需要はあるものの、人員不足や組立てスペースの制限に伴う生産高の打ち止め
などがあり、今後の事業継続や機会損失を無くしたいという切実な事情があるものと思います。
また、昨今増えてきているファブレス、ファブライト化*を生業とする企業におかれましては、生産委託先として活用頂くことも可能です。どこまで当社で対応可能かについては、専門の技術部隊がお客様に出向き、双方の一番メリットが出せるラインを提示することで、お客様の生産の下支えにご協力いたします。
*ファブレスとは…自社で工場を持たずに製品企画や開発に特化し、生産は行わないこと。
*ファブライトとは…自社では大規模な設備投資をせずに最小限の生産規模に留め、生産の大部分は外部企業に委託すること。
ファブレスのメリット(組立業務)
装置の組立てにおいては非常に広いスペースを確保する必要があります。資材置き場、仮組み場、組立て場、検査場などの確保はもとより、装置完成体の外形寸法に対して、実際に確保すべき組立てスペースはその4~5倍は必要と言われています。その結果、有限である組立てスペースで完成できる装置台数はおのずと限定されてしまい、加えて納期遅延や再調整の必要が出た場合、組立てスペースへの滞留時間も長くなり、前後工程での歩留まり発生や、空きスペースの発生など、時間生産性向上の足かせとなるケースが増えてしまうのです。
THKで装置の土台まで、あるいは装置丸ごとものづくりすることにより、装置出荷台数増加に伴う収益改善や余剰人員の配置転換など組織改革の効果をも生むことが可能となります。


ファブレスのメリット(生産設備・生産拠点)
THKのユニット工場では専用の加工機械を多数保有しています。材料だけ仕入れれば、社内で切削加工、研削加工、塗装まで一貫生産が可能なため、変動費を抑えつつ、ご希望の納期に対応する生産管理体制が整っております。また、広大な組立てスペースやパーティクルを嫌う装置に対応したクリーンブースを有するなど、幅広いご要望に応えることができる専用ユニット工場が国内に5拠点あります。各種測定機器も全国の専用ユニット工場に完備しており、同一品質の確保を目的とした幅広い測定・検査が可能です。ハイレンジからローレンジまでご要求に合わせた精度測定が可能な体制を整えております。
生産支援に関してご相談いただくお客様の声とは?
機械や装置を生産されているユーザー様の声から一例をあげますと、
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組立や検査時の手戻りによる人員コスト
- 出荷台数が増やせないことによる機会損失
- 需要変動に伴う固定費変動リスクや設備投資
これらのコストがものづくりには常に発生しており、判断ミスによってはエンドユーザーに装置を出荷できないこともあります。そのため売上・収益の計画が達成できないなど大きなリスクがはらんでいて、このリスクを解消するのがTHKの生産支援であり、そこに価値を見出していただきたいと考えています。
専門部隊が皆さまのサポートをいたします
初めてTHKの生産支援を検討いただく場合には、様々な不安が発生すると思います。そのようなお客様にはぜひ、
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専門部隊によるオンラインでの概要説明
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専門部隊による対面での詳しいご説明
- 当社ユニット工場の見学
- 最寄りの支店へのお問合せ
などさまざまな方法でお客様の不安を解消できるように努めますので、まずはお気軽にお声がけください。
日本国内では5か所の専用ユニット工場で年間5,000台以上のユニット製品を製造出荷しています。お客様の立地場所や要求仕様に合わせ、ユニット製品の専門部隊が5工場をコントロールし、あらゆるものづくりに対応しています。お客様の困りごとに対し、ビフォアからアフターまで各エリアに駐在する営業技術員が迅速に対応できるサポート体制も充実しています。
「生産支援事業」について、動画で詳しく知りたい方はこちら(YouTube)