2025年06月11日
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オンラインセミナー運営の中の人が語る!技術者必見のTHKセミナー裏話
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みなさんはオンラインセミナーを受講されたことがありますか?新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降、オンラインセミナーの需要は急激に高まり、さまざまな業界で活用されるようになりました。THKも2020年から定期的にオンラインセミナーを開催しており、多くの方にご受講いただいています。今回は、そのTHKによるオンラインセミナーの裏側について、セミナー立ち上げ時から携わっているセミナー運営の中の人にセミナーの裏側や工夫、今後の展望についてインタビューを行いました。
オンラインセミナー開催のきっかけからオンラインシフトまで
もともとTHKでは、本社や営業所、顧客先にて対面形式のセミナーを実施していました。しかし、2020年の緊急事態宣言をきっかけに、非対面型の情報提供への移行が急務となりました。はじめに、立ち上げ当時のお話しから伺いました。
まずはオンラインセミナー開催のきっかけについてお聞かせください。そもそもオンラインセミナーを開催するきっかけとは何だったのでしょうか?
新型コロナウイルス感染症の影響が大きいと感じています。以前は、弊社営業所・本社・工場、またはお客様の事業所へ伺い、現地でセミナーを実施していました。しかし、新型コロナウイルス感染症が2019年末に報告され、2020年には緊急事態宣言が発令されました。これに伴い、外出自粛や感染対策が求められ、従来の対面でのコミュニケーションが難しくなりました。 当時、弊社ではデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいました。そのため、2020年初頭から非対面のコミュニケーション方法を模索するよう、当時の経営層から提案を受けました。そして、オンラインセミナーの検証と開催を同時に開始しました。
オンラインセミナーの目的や目標はどのようなものでしょうか?
私たちはコロナ禍から現在に至るまで、お客様との接点を増やし、継続的なコミュニケーションを図ることを目的としています。当初は、対面セミナーの再現を目指し、チャットを用いたリアルタイムでの質疑応答などに力を入れていました。 また、場所に影響されることなくセミナーを開催できるオンラインの特性を活かし、今まで接点を持てていなかったお客様にもご参加いただけるよう努めています。

コロナ禍によるオンラインシフトの際に最も苦労した点は何ですか?
2020年5月に本社で実施予定だった対面セミナーを中止し、代わりにオンラインセミナーを実施することになったため、準備期間が非常に短かった点です。
セミナーツールの検証、セキュリティ面の確認、社内オペレーションの整備など、全てのプロセスを急ピッチで進める必要がありました。技術的な課題も多かったですが、最も大変だったのは社内外の意識のすり合わせだったと思います。
対面セミナーとオンラインセミナーの違いについて、どのように感じていますか?
オンラインセミナーは距離に関係なく開催できるため、全国のお客様にTHKの技術や製品情報をお届けできる点が特に良いと感じています。ただし、対面セミナーのような双方向のコミュニケーションと比べると、オンラインセミナー単体では限界があります。例えば、対面セミナーでは、参加者と講師が直接顔を合わせて対話できるため、質問や意見交換がスムーズに行えます。しかしオンラインセミナーでは、チャット機能を使って質問をするのでタイムラグが生じることがあります。そのため、チャットでの質疑応答、アンケートによる声の収集、必要に応じたお電話対応などを組み合わせて、できる限り双方向のコミュニケーションを目指しています。
オンラインセミナーの多様なラインナップ
続いては、気になるセミナーの内容や人気のセミナーについて伺いました。
現在提供しているセミナーの種類や内容について詳しく教えてください。
「LMガイド基礎編」など、機械要素部品の基礎を学べるセミナーが中心です。ボールねじやボールスプライン、クロスローラーリングなど、製品の特長、選定方法、保守のポイントまで幅広くカバーしています。最近では、製品群ごとに分類したセミナーだけでなく、特定製品にフォーカスした応用編や事例紹介など、より専門的なセミナーも増やしています。

特に人気のあるセミナーはどういったもので、好評の理由はどう分析していますか?
これまでの参加人数で判断すると、「LMガイド基礎編」や「ボールねじ基礎編」が非常に人気を集めています。これらはTHKの顔とも言える直動案内の製品であり、初心者からベテランまで幅広い層の方にご興味を持っていただいています。 多くの方が関心を寄せてくださることを大変嬉しく思っています。
最も認知度が高いこれらの基礎編は、製品の情報を幅広く提供することを目指しており、簡単に知りたい方や再確認したい方、さらには入社して間もない方にも見ていただけるよう構成しています。これがご好評いただいている理由だと考えています。

お客様と対話ができるセミナー運営を目指して
引き続き、オンラインセミナーの特長や、講師の選定基準・トレーニング方法について伺っていきます。
オンラインセミナーの特長とはどういったものでしょうか?
THKの製品に詳しい技術部門の社員が講師を務め、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説している点が一番の特長です。
主に以下のような特長があります。
①THKの熟練の技術者による分かりやすい講座
各製品の開発に携わった技術スタッフが、専門知識を丁寧に解説します。製品の詳細なスペックから現場での活用事例まで、リアルな情報をお届けしています。
②だれでも気軽に受講できる無料セミナー
すべてのセミナーを無料で受講いただけます。受講回数の制限もありません。同じセミナーや関連セミナーを何度でも受講して、理解を深めていただけます。
③期間中は何度でも視聴可能
セミナーは期間限定のオンデマンド形式で配信いたします。配信期間内であれば、お客様のご都合のよいタイミングで受講が可能です。忙しい方でも安心してご参加いただけます。
④個別のお問い合わせ対応
セミナーでは、講座に関する質問だけでなくお客様のお困りごとなど、どんな些細な疑問でもお気軽にご質問いただけます。いただいた内容は、後日メール・電話などでお答えしています。
お客様との双方向のコミュニケーションを大切にしているため、お客様にとって身近で参加しやすく、疑問点もお気軽にご質問いただけるように取り組んでいます。
新たにオンデマンド形式での配信も開始
従来は日時指定のオンラインセミナー開催のみに限られていましたが、2025年からオンデマンド配信が開始されました。受講者からの反応などについて伺いました。
※オンデマンド配信:あらかじめ制作された動画を配信サーバーにアップロードしておき、視聴者が好きなタイミングでアクセスして視聴できる配信方法
オンデマンド配信でのオンラインセミナーについて受講者からの反応はどうですか?
オンデマンド配信はとても好評をいただいています。元々はチャットによる質疑応答など、リアルタイムでのフォローを重視していましたが、開催時間が限定されていました。 受講者からは、日付や時間が自由であることを希望する声が多かったため、限定的ではありますがオンデマンド配信を導入しました。受講者のライフスタイルに合った形でご提供できていると感じています。
これまでに受講者から寄せられたご意見や感想を教えてください。
大変多くのご意見をいただき、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。セミナーの運営に対してはオンデマンド配信をご要望いただき、その受講者の声を受けて2025年からオンデマンド配信の実現に繋がりました。またベアリングには欠かせないトライボロジーの中でも潤滑について、直動案内メーカーの意見が聞きたいとの声もあり、以前から開催していた保全編のセミナーからスピンオフしたのも印象深いです。それ以外では「取付方法について知りたい」「上級編を知りたい」などのご要望があり、ご満足いただくためにはオンラインセミナーの枠から出る必要があると感じています。

受講いただいた方の「良かった」の声
これまで多くの方々に受講いただいたセミナーですが、数多くの声が寄せられています。お客様の声についても伺ってみました。
セミナーを受講したことで、具体的にどのような成果が得られたという声がありますか?
製品のことだけではなく、概要を説明してくれたおかげで「全体の理解が進んだ」「考えが整理された」「選定方法が分かった」などのお声をいただいています。先輩社員の方から、「新入社員に受講してもらい、教育にちょうど良かった」といった意見もいただきました。一方で、既に内容をご存じで、さらに詳しいことを知りたかったという方には、「特定の業界・使い方にマッチしたものを紹介してもらえなかった」とご満足いただけなかったという意見もありました。アンケートで打合せのご希望もお伺いしていますので、もし希望がありましたらお気軽にご回答をお願いします。
利便性を高めてお客様の満足度を高めていきたい
オンラインセミナーについて、今後の展望や目標、そして受講者へのメッセージについて伺いました。
オンラインセミナーの今後の展望や目標を教えてください。
現在はまだオンデマンド配信が一部のセミナーに限られていますが、今後はもっと自由に日時や内容を選べる仕組みにしていきたいと考えています。また、申込み手続きの手間も改善し、より使いやすいUI/UXを目指します。お客様が「今知りたいこと」をすぐに学べるような環境を整えるのが目標です。
※UI/UX:UI(ユーザーインターフェース)は、ユーザーが製品やサービスと直接触れるインターフェース(画面、ボタン、フォントなど)のこと。
一方、UX(ユーザーエクスペリエンス)は、ユーザーが製品やサービスを通して得られる全体的な体験のこと。

セミナー運営側から受講者に向けてメッセージをお願いします。
弊社製品の特性上、お客様のご要望に最も効率よくお応えするためには、まだまだデジタル媒体のコンテンツだけでは不足していると感じています。なによりもお客様の声が私たちの励みとなりますので、厳しいご意見も含め、しっかり1つ1つ受けて止めてお客様の要望に応えてまいります。
インタビューを終えて
オンラインセミナーにかける熱意が伝わってくるインタビューでした。新型コロナウイルス感染症という大きな外部環境の変化にも柔軟に対応し、試行錯誤を重ねながら取り組んできた様子がよく分かりました。
技術のプロによる講座を無料で受講できるのは、大きなメリットだと感じました。ぜひ多くの方にご参加いただき、学びの機会としてご活用いただければと思います。また、新製品やサービスに関するセミナーも定期的に開催されています。最新情報は、THKオンラインセミナーのページにて随時ご確認いただけますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。
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