2024年02月21日
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自律移動する搬送ロボットは何を見ている?
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自律移動する搬送ロボットは、決められたルートや場所に向かって、障害物があったら停止したり回避したりしながら、ヒトの代わりに荷物を運んでいます。
その搬送ロボットは、周囲をどうやって見ているのでしょうか?ヒトが見ているのと同じように見ているのでしょうか?
そもそも「見る」とは?
例えば空や雲を見たときに、空が青く、雲が白く見えるのは、空気や水の粒そのものの固有の色ではなく、ヒトの目で見ることができる光(可視光線)で見たときに青であったり、白であったりするからです。
もし紫外線しか見ることができない目であれば、このようにはなりません。赤外線しか見えない目であっても同様です。
青く美しい地球も、もしX線しか見えない宇宙人がいたら、青には見えません。
ロボットはヒトと同じ景色を見ている?
搬送ロボットも周りの空間を把握することに加え、目標となるターゲットを識別する必要がありますが、ロボットによってその「目」はさまざまです。
床に貼られたQRマーカーや周りの景色をヒトと同じ様に可視光で見るロボットもあれば、ヒトの目に見えないレーザー光を使用して周りの物の形状や距離をセンシングするLiDAR技術を用いたロボットなど、一口に搬送ロボットと言ってもいろいろな「目」があります。
広く使われているAGV(無人搬送車)では床に貼った磁気テープなどの磁気を検出して走行しますが、これも広い意味では「目」と言えるかもしれません。
搬送ロボット「SIGNAS」
それでは、THKが開発したSIGNASはどうでしょうか。
SIGNASは、磁気テープやLiDARを用いたSLAMによる誘導とは異なる第3の走行技術「サインポスト誘導方式」を採用しています。
簡単に言うと、カメラでサインポストを検出して、そのサインポストを基準に走行する誘導方式です。

サインポストを見る目
このサインポストを見る目は、赤外線の画像を撮るカメラです。
SIGNASから赤外線を照射し、ターゲットとなるサインポストを見つけます。赤外線はヒトの目には見えないため、SIGNASが照射している赤外線も見えません。
SIGNASはこの目でサインポストまでの距離を常に測定しながら、目標とする位置を目指して走行するのです。

サインポスト誘導方式のメリット

SIGNASは特殊なシートを使ったサインポストを赤外線で見ているので、ヒトの目ではサインポストと同じ様に見えるものがあっても、サインポストかどうかをはっきり見分けることができます。したがって、周りの景色の影響を受けにくいというメリットがあります。また、LiDARで周りを見るタイプのAMRと違い、周辺に置いてある物の位置が変わるなどの環境変化が大きくても安定して走行できるということも大きな特長です。
ある程度無人化された工場や物流倉庫内であれば、周辺の環境変化が小さいのでAMRは搬送ロボットとしてその優れた能力を存分に発揮することができます。しかし、実際の生産・物流現場は生産量や時間によって仕掛品や台車が増減するなど環境変化が大きいため、そのような環境の場合はサインポストさえ見えていれば走行できるSIGNASに大きなメリットがあります。
一方、誘導テープを使用するAGVは床に貼ってあるテープを直接見て(検知して)走行するため、非常に安定し、かつ精度が出しやすいという特長があります。またコスト的にも安価なので世の中で広く使用されています。
ただ、床に貼ってあるテープは台車やフォークリフトの走行でダメージを受けやすく、常にメンテナンスに気を付ける必要があります。特に走行経路が長い場合にその作業工数は軽視できません。またルートを変えるためには一度貼ったテープを剥がして貼り直す必要があり、これは大変に手間のかかる作業のためレイアウト変更が気軽に行えない、という声もよくお聞きします。
SIGNASの目は、AGVでもAMRでもない第3の誘導方式として、皆様の工場・物流センターなどの自動化をお手伝いいたします。
他にもSIGNASは悪路面に強いという特長がありますが、この話は別の機会にご説明したいと思います。
搬送の自動化をお考えの方やSIGNASに興味を持っていただいた方は是非THKまでご相談ください。