2024年01月24日
製品
設備総合効率(OEE)を最大化!新しいAI診断サービス「ADV」
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- AI診断サービス「ADV」
- OEE(設備総合効率)
この数年、製造業におけるAI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)の進化が加速しています。以前であれば熟年の技術者が長年の経験と勘で機械をメンテナンスしていましたが、現在ではさまざまな機械の稼働状況が数値化され、AIがそのデータを解析して保全業務の効率を向上させることができるようになっています。
この記事では、THKが提供する保全業務の効率的なメンテナンスが可能なIoTソリューションと、新たにサービスとして追加されたAI診断サービス「ADV」についてご紹介いたします。
*OEE:Overall Equipment Effectiveness 公益社団法人日本プラントメンテナンス協会により提唱された「設備総合効率」の略称
THKは、設備総合効率(OEE)を最大化するプラットフォーム OMNIedgeの直動部品向けにAI診断サービス「ADV」を開始いたしました。
OEE(設備総合効率)最大化プラットフォーム OMNIedgeとは
機械要素部品メーカーであるTHKは、2020年からデジタルの力を使いながら製造現場のさまざまなロスを削減できるIoTソリューションを提供してきました。それがOEE(設備総合効率)最大化プラットフォームのOMNIedgeです。
OMNIedgeの第1弾はLMガイドやボールねじなどの直動部品向けにサービスを開始しました。続く第2弾ではポンプやファン、ギアボックスなどの回転部品にまで対応範囲を広げるとともに、部品の予兆検知ソリューションをリリースし、第3弾としては、加工機をご使用のお客様に向けて、工具交換・加工不良によるロスを削減する工具監視AIソリューションを開発いたしました。
OEEの向上には、現場で発生する、設備に関するロス、人に関するロス、エネルギーに関するロスを減らす必要があるため、THKはその3つを解決するソリューションを今後も継続的に投入していきます。
あらゆる装置の状態を見える化するOMNIegde
THKの主力製品であるLMガイドをはじめとした機械要素部品は50年以上継続販売され、大変多くのお客様にご採用いただいております。しかし、これら直動部品は使用の特性上、手の届きづらい装置内部や、カバーで覆われている場所などに多用されています。マシンユーザーご自身で、定期的に給脂している、走行距離で定期交換するなどメンテナンスの方法はさまざま聞きますが、滅多に故障しないLMガイドでも非常に負荷がかかる状況下で使用し続けることなどで破損が起き、装置やラインの突発停止を起こすことがあります。
滅多に故障しないからこそ、常日頃から部品の状態を見える化(数値化)したいという声が多く寄せられています。
そこで、THKは既存で稼働しているあらゆる装置にセンサを後付けして部品の状態を見える化し、効率的なメンテナンス活動を支援するソリューションを2020年1月に発売しました。
装置の部品に後付け(レトロフィット)可能ですぐにご使用可能
マシンユーザー様がIoT構築をはじめる場合、図にあるようなステップを踏む必要があります。汎用的なセンサを購入して自社で構築することもできますが、普段の忙しさから、なかなか手が回らないのが実情です。そこで、センサ、エッジコンピュータの選定工数にかかる手間を省き、取得できたデータをスコア化、ネットワーク構築、モニタ用Webアプリなどをワンパッケージにすることでお客様にすぐご利用できるようにしたものがTHKのOMNIedgeです。
世界中には、LMガイドなどの直動部品を搭載した装置は無数にあり、かつ現在も稼働中であることから、既存で稼働している装置の部品に“後付け(レトロフィット)”できる方式になっています。お客様ご自身で設置いただけるようにアタッチメント方式を採用し、ワンタッチ着脱タイプ、接着タイプなどを用意しています。
ネットワークに関しても、最初から社内ネットワークにつなぐ工事やセキュリティに関してクリアするまで手間がかかるため、PoC(概念実証)時には4G/LTE回線を利用したセキュリティが確保された環境下で気軽に始められることもポイントの1つです。
ワンパッケージでお届けすると共に、価格やプランに関してもお客様に合わせたご提案ができるように複数用意しております。初期費用を抑えて始められる継続課金プラン、ハードウェアを最初にご購入いただくプランなど、計画と導入規模に合わせてご選択ください。
複雑な設定なしのAI診断サービスADV開発の経緯とメリット
ここまで述べてきた方法で機械要素部品の見える化(数値化)はできましたが、お客様からは「設備によって動作パターンが異なり、しきい値の設定が難しい」「OMNIedgeが使いやすく、多台数に展開したが、設備台数が多すぎるため手に負えない」というお話がありました。そこで、OMNIedgeは、AIを活用した、しきい値の設定が不要で、変化や異常を自動でお知らせしながらデータを分析・見守りしたレポートを自動で行う、AI診断サービス「ADV」を開始しました。ADV*は、THKが独自で持っているAIアルゴリズムがクラウド上にあるデータを分析し、いつもと違う状態を検知した場合に自動で発報する仕組みです。
破損の状態、潤滑の状態なども包括した異常度としてAIスコアを算出します。そのため、お客様で個別の管理は不要であり、お知らせが来た際に装置や部品周辺の確認、置き換えをしていただくだけで保全活動がおこなえるようになるため、保全業務の効率が大きく向上します。昨今はメンテナンス担当者で管理される装置台数が増える傾向にあり、定期修繕も間に合っていないことがあるとよく耳にします。OMNIedgeは、そのような状況下において、装置の状態把握できる範囲を広げるためにも役立ちます。このサービスは、契約内に入っているため、追加での契約は不要です。
*ADV:AI Advisor、AI Driven、Advanced solution などの複合意味を込めた造語になります
AI診断サービス “ADV”
- しきい値の設定不要
- 変化や異常を自動でお知らせ
- 直動部品を熟知したデータサイエンティストがデータを分析・見守りレポート
予兆検知を導入しても設備ごとに状態と条件が異なり、しきい値の設定が難しい…そんな声にお応えするAI診断サービス “ADV”。
しきい値設定不要で、更に異常値(破損・潤滑状態)のスコアをAIアルゴリズムが算出、専門家がデータを分析して見守りレポートをご提示します。

導入をご検討いただきたいお客様
LMガイドやボールねじ、アクチュエータなどの、直動部品・直線案内機構が搭載されている装置をご使用のマシンユーザー様を対象としています。特に工作機械などの負荷が高い箇所や、搬送など繰り返しや稼働率の高い箇所で、部品故障による「ドカ停」を経験された方やメンテナンス方法で苦労されている方に最適です。これまで経験や勘で判断していたものをデジタル技術で数値化して、属人化を解消します。また、昨今の人手不足の一因でもある定年を迎えたベテラン社員の退職により、陥りがちだったノウハウ継承不足をカバーするソリューションでもあります。
直動部品に関する困りごとや過去にトラブルが発生したご経験のあるお客様は、THKまでお問い合わせください。
「OMNIedge」 直動部品向けAI診断サービス「ADV」の提供開始(ニュースリリース)