2023年05月31日
製品
これからの日本に求められる「ロボット化」とは?
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これまではロボット化と言えば「生産性向上」が一番の目的でした。しかしここ数年、新しい考え方でロボット導入を決断する現場が増えてきました。
ではその考え方とはどのようなものでしょうか。
見直される日本でのものづくり
これまで日本企業は、製造コストを抑えるために積極的に海外への進出が拡大しておりました。しかし、近年その動きが見直され始めております。
国内回帰の動き
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新型コロナで顕在化したサプライチェーンの脆弱性
日本や諸外国において、新型コロナによるロックダウンで部品の生産や輸送ができず大きな問題となりました。特にこれまで入手性に何の懸念もなかった部品については在庫を持っていないお客様も多く、数百円の部品が入らないため装置が出荷できない、というケースも少なくありませんでした。
- 途上国での賃金上昇
中国や東南アジアでの賃金は上昇し続けており、「人件費を抑えるために海外で生産」という常識も考え直す必要があると言われております。
- 国内生産の強み(品質・物流etc)の再認識
国内生産の品質面における優位性はもちろんですが、国際的な物流輸送費の高騰もあり、せっかく海外で安く作っても日本に持ってくるだけで赤字になる、というケースが出てきています。特に単価が安い製品に関しては、日本国内で製造して物流費用を抑える重要性が増してきています。
産業の国内回帰で日本国内の需要や雇用が増えるのは日本にとって歓迎すべきことですが、諸手を挙げて喜べない大きな問題があります。
国内回帰が単純に喜べない理由
人手不足
- 労働人口の減少
以下は人口ピラミッドと呼ばれるグラフで、縦軸が年齢、横軸がその年齢の人口を表しています。15~65歳がいわゆる生産年齢という働き手の数になりますが、少子高齢化が進む中でその数は大きく減少していきます。2040年には、2000年の働き手の数の約70%となってしまう見込みです。これは大きな社会変化がない限り、避けられない事実です。
- 人件費の上昇
近年の物価高に伴う賃金上昇は働き手にとって望ましいことですが、とは言え募集しても人材が集まらずにお困りの企業は多いと思います。昔のように手が足りなければ残業を増やして対応すればよい、という訳にはいきません。また、SDGsの項目にもある「働きがいのある人間らしい雇用」という視点から考えると、単純な労働作業を繰り返す仕事は働き手に敬遠されがちです。
- 海外実習生制度への懸念
この人手不足に対して、現実的な解として海外実習生の皆様にものづくり現場を支えてもらっている企業もあるかと思います。しかし、新型コロナの入国規制によってここ数年は新規の受け入れができない状況が続きました。また、為替の問題もあり、そもそも今までと同じように日本で勉強して働きたいと思ってもらえるかという懸念もあります。
このように、せっかく日本に企業が帰ってきて需要が増えても、そこで働く人はこれからどんどん減少していく見通しです。その環境で、5年先、10年先も日本で今と同じようにものづくりを続けていくためには、産業用ロボットや協働ロボットで補う自動化が必須となります。
ロボット導入の考え方の変化
今まで:ロボットを導入することで利益を生む = プラスを増やす発想
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生産性が〇〇%向上する
- 品質が向上する
- 省人化で人件費削減 …etc
これから:ロボットを導入しなければものを作れない = マイナスを埋める発想
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高齢化で従業員が減っていく
- 人件費高騰で人が集まらない
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海外実習生の方が集まらない …etc
もちろんマイナスを埋め更にプラスにできるのが一番理想的なのですが、そのためには相応のコストがかかります。採算を度外視して何でもかんでもロボット化・自動化することは現実的ではありません。
これからのロボット導入に必要な考え方
これまで述べたように、これからの日本はどんどん働き手が減っていきます。今まではいかに人件費を削減するかを考えていたのに対して、これからは限られた人的リソースをいかに活用するか、という考え方が必要になります。つまり、「ロボットを導入して人を減らす」のではなく「人を活かすためにロボットを導入する」という考え方です。
我々は普段特に意識はしていませんが、改めて考えると人というのは「超高性能な画像認識」ができ、「力制御機能があり複雑な作業も行える極めて優れたハンド」を持ち、「ぶつからずに自律移動する移動装置」を持ち、「簡単な指示でも自分で考え行動するAI」を持つ、とても優れた存在です。
「(超高性能な)人が担うのが勿体ないところにロボットを使う」ことで、これからの日本でも製造業は発展できると考えています。
人が担うのが勿体ないところとは?
搬送工程の自動化
人が担うのが勿体ないところの一つに搬送の工程があります。
例えば人が台車を押して100m物を運ぶとしたら、行って帰っての10分弱の間、貴重な人がその仕事を担うことになります。もしその工程をロボットが肩代わりできれば、その分、人を活かすことができるのではないでしょうか。
従来の自動搬送 AGVとAMR
搬送工程の自動化自体は昔からあり、床に磁気テープを貼って誘導するAGVは広く使われています。技術的にも確立しておりコスト的に安価なのですが、床に貼ってあるテープが剥がれると止まってしまうリスクがあるため、常にメンテナンスに気を付ける必要がありました。
また近年では自分で地図を作って動くAMRという賢いロボットも登場しています。テープにまつわるトラブルはなくなるのですが、現場の環境が変わると自分の位置を見失って動けなくなることが有ります。また賢い分コストも上がるため、全てをAMRに置き換えることは現実的ではないと思われます。
テープレス&低コスト 自動搬送ロボットのご提案
THKでは独自開発のサインポスト誘導方式でテープを使わない搬送ロボット「SIGNAS」を開発しており、テープレス&低コストでの自動搬送をご提案しています。
- 独自開発のサインポスト誘導方式で磁気テープを使わずに動作可能
- マッピングを行わないので周辺の環境変化に強い
- 高い悪路走破性
- 経路設定方法が簡単なので短時間で習得可能
これらの特長により、今まで自動化できなかった現場にも導入が可能です。
これからの日本のものづくりにおいてはロボット化を避けて通ることはできません。ですが、上手くロボット化できれば、これからも日本のものづくりは発展していきます。ぜひ身近なところからロボット化をご検討ください。
搬送ロボット「SIGNAS」のカタログはこちら(PDF)
搬送ロボット「SIGNAS」の動画はこちら(YouTube)
搬送ロボット「SIGNAS」の詳細な情報はこちら(THKサイト)
THKの「物流特設サイト」はこちら(THK専用サイト)
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