フラットローラーの性能を十分発揮させるためには、ローラーが直接転動する相手転動面の硬さ、表面粗さおよび精度に注意して製作する必要があります。特に硬さは寿命に大きく影響しますので、材質、熱処理方法について十分検討してください。

硬さ

表面硬さは58HRC(≒653HV)以上、硬化層の深さはフラットローラーの大きさにより異なりますが、一般的には2mm前後を推奨します。転動面の硬さが低い場合や焼入れできない場合には定格荷重と定格寿命 図1に示す硬さ係数を定格荷重に乗じてください。

材質

高周波焼入、火焔(かえん)焼入による表面硬化に適した材質として下記などが一般的に使用されます。

  • SUJ2(JIS G 4805 高炭素クロム軸受鋼)
  • SK3~6(JIS G 4401 炭素工具鋼)
  • S55C(JIS G 4051 機械構造用炭素鋼)

そのほか機械本体が鋳物の場合、使用条件によっては焼入鋼板を使用せず、鋳物自体を表面焼入れして使用することもあります。

表面粗さ

円滑な転がりを得るためには、転動面の表面粗さはRa0.4以下が良好ですが、若干の初期摩耗が許されればRa0.8程度でも使用できます。

精度

高精度を必要とする場合、焼入鋼板を機械本体にボルトで締付けると、転動面にうねりを生ずることがあります。これを避けるためには、焼入鋼板を研削するときに取付時と同じようにボルトで締付けて仕上げるか、あるいは機械本体に締結後に仕上研削すると良好な結果が得られます。