定格寿命の算出

定格寿命(L10)は基本動定格荷重(C)とクロスローラーリングに負荷する荷重(PC)から次式により求められます。

L10 定格寿命 (rev.)
C 基本動定格荷重 (N)
PC 動等価ラジアル荷重 (N)

使用条件を考慮した定格寿命の算出

実際の使用では稼動中に振動や衝撃を伴う場合が多いため、クロスローラーリングへの作用荷重の変動が考えられ正確に把握することは容易ではありません。 また、使用環境温度も寿命に大きく影響します。これらの条件を考慮すると、次式(2)により使用条件を考慮した定格寿命(L10m)を算出することができます。

使用条件を考慮した係数 α
α 使用条件を考慮した係数
fT 温度係数 (図1参照)
fW 荷重係数 (表1参照)
使用条件を考慮した定格寿命 L10m
L10m 使用条件を考慮した定格寿命 (rev.)
C 基本動定格荷重 (N)
PC 動等価ラジアル荷重 (N)
  • 注)通常の使用温度は80℃以下です。それ以上の使用温度のときはTHKにお問い合わせください。
  • ※  クロスローラーリングの基本動定格荷重(C)とは、一群の同じクロスローラーリングを個々に運動させたとき、定格寿命が106revとなるような方向と大きさの変動しないラジアル荷重をいいます。基本動定格荷重(C)は、寸法表中に記載されています。
  • ※  定格寿命は、良好な潤滑が確保でき、理想的な取付条件で組立てることを前提に荷重計算を行い算出しております。揺動運動や低速運動等の使用条件によって潤滑状態に影響を与える場合があります。揺動運動や低速運動での寿命計算についてはTHKにご相談ください。

fw:荷重係数

一般的に回転運動をする機械は運転中に振動や衝撃を伴うものが多く、モーターやギアなどの駆動源による振動や、常時繰り返される起動停止時の衝撃など、すべてを正確に求めることは困難です。
従って、振動や衝撃の影響が大きい場合は、経験的に得られた表1の荷重係数を目安とし基本動定格荷重(C)に除してください。

表1 荷重係数(fw)
使用条件 fw
衝撃のない円滑運動の場合 1〜1.2
普通運動の場合 1.2〜1.5
振動・衝撃の激しい場合 1.5〜3

寿命時間の算出

回転運動の場合
Lh 寿命時間 (h)
N 毎分回転数 (min-1
  • ※  連続回転の場合、回転数によっては大きな発熱を生じる可能性があります。使用回転数についてはTHKにご相談ください。
揺動運動の場合
Lh 寿命時間 (h)
θ 揺動角度 (deg)
(※右図参照)
no 毎分往復回数 (min-1
  • ※  揺動角度:θが小さい場合には軌道輪ところの接触面に油膜が形成されにくくなり、フレッチングが生じる可能性があります。このような条件で使用される場合にはTHKにご相談ください。

動等価ラジアル荷重 PC

クロスローラーリングの動等価ラジアル荷重は次式により求められます。

PC 動等価ラジアル荷重 (N)
Fr ラジアル荷重 (N)
Fa アキシアル荷重 (N)
M モーメント (N・mm)
X 動ラジアル係数 (表2参照)
Y 動アキシアル係数 (表2参照)
dp ローラーのピッチ円径 (mm)
表2 動ラジアル係数と動アキシアル係数
区分 X Y
1 0.45
0.67 0.67
  • ● Fr=0 N、M=0 N・mmのときはX=0.67、Y=0.67として計算してください。
  • ● 予圧を考慮した寿命計算についてはTHKにご相談ください。