機械に振動衝撃が作用し剛性と高精度が要求される場合の取付例

LMレールの取付け
  • LMガイドの相手機械取付面のバリ、打痕およびごみなどを組付前に必ず取除きます。(図6)

    注)LMガイドには防錆油が塗布されていますので組付前に基準面を洗浄油で拭きとってからご使用ください。防錆油が除去された基準面は錆やすいので粘度の低いスピンドル油などを塗ることをお奨めします。

  • LMレールをベース上に静かにのせ、LMレールが取付面に軽く密着する程度にボルトを仮締めします。(ベースの横基準面にはLMレールの線引きマーク側を突きあてます。)(図7)

    注)LMガイドを固定する取付ボルトは清浄なものを使用してください。また、LMレールの取付穴にボルトを入れたとき、ねじ穴のずれがないか確認してください。(図8)穴ずれの状態で無理にボルトを締付けると精度低下の原因となる場合があります。

  • LMレール押しねじを横取付面に密着する程度の締付力で順序良く締付けます。(図9)
  • 取付ボルトをトルクレンチを使用して規定トルクで締付けます。(図10、LMレールの推奨締付トルク 表1、表2参照)

    注)LMレール取付ボルトの締付手順は、中央位置から軸端に向けて順序よく締付けていくと安定した精度が得られます。

  • 残りのLMレールも同様に取付けてLMレールの取付けを完了します。
  • LMレール上面のボルト穴にキャップを同じ面になるように打込みます。
LMブロックの取付け
  • LMブロック上にテーブルを静かにのせ、取付ボルトを仮締めします。
  • 基準側LMブロックを押しねじでテーブル側面基準面に押しあて、テーブルの位置決めをします。(上記図5参照)
  • 基準側、従動側の取付ボルトを本締めして組付け完了です。

    注)取付ボルトの締付けは 図11 に示すように対角線上に順次行なうとテーブルの固定が均等化できます。

この方法はLMレールの真直度出しに時間がかからず、しかも固定用ノックピン加工をせずにすむため、組付工数が大きく短縮されます。

基準側LMレールに押しねじがない場合の取付例

基準側LMレールの取付け

取付ボルトを仮締めした後、取付ボルトの位置を小型バイス等で横基準にしっかりと突きあてて取付ボルトを本締めします。これを取付ボルトのピッチ毎に順序よく繰り返して行います。(図13)

従動側LMレールの取付け

正しく取付けられた基準側LMレールに対し、従動側LMレールを平行に取付ける場合には下記の方法を推奨します。

ストレートエッヂによる方法

2軸間にならべたストレートエッヂをダイヤルゲージにて基準側LMレールの横基準面に対し平行にセットした後、ストレートエッヂを基準にダイヤルゲージにて従動軸の真直度出しを軸端より行いながら順次取付ボルトを固定します。(図14)

テーブルの走りによる方法

基準側のLMブロック2個をテーブル(または測定用仮テーブル)に固定し、従動側のLMレールとLMブロック(1個)は共にベースとテーブルに仮締め状態とします。テーブル上面に固定したダイヤルスタンドから従動側のLMブロック側面にダイヤルゲージをあて、軸端よりテーブルを移動させて従動側LMレールの平行度出しを行いながら順次ボルトを固定します。(図15)

基準側LMレールにならわす方法

正しく取付けられた基準側LMレールと仮締めした従動側LMレールのLMブロック上にテーブルをのせ、基準側の2個のLMブロックと従動側の2個のLMブロックのうち1個をボルトで本締めします。残りの従動側のLMブロックは仮締めしながら従動側LMレールの取付ボルトを順次本締めします。(図16)

治具による方法

図17のような治具を使い、片端より取付ピッチ毎に順次基準側の側面基準面に対する従動側の基準面の平行度出しをしながら取付ボルトを本締めします。(図17)

基準側LMレールに横突きあて面がない場合の取付例

基準側LMレールの取付け
仮基準面を使用する方法

ベースのLMレール取付部付近に設けた基準面を使用して、軸端よりLMレールの真直度出しを行う方法がありますが、この場合図19のようにLMブロックは2個密着で測定用プレートに固定して行う必要があります。

ストレートエッヂによる方法

取付ボルトを仮締めした後、図20のようにストレートエッヂを基準にダイヤルゲージにて軸端よりLMレールの側面基準面の真直度出しを行いながら取付ボルトを本締めします。従動側LMレールの取付けは上記、基準側LMレールに押しねじがない場合の取付例の方法と同様に行います。

HR形組付要領

HR形の取付けはつぎの要領を推奨します。

  • ベースのLMレール取付面はオイルストーンをあて、バリ、カエリなどを取除きます。(図21)
  • ベースの取付面に小型バイスなどを利用し、基準面に密着するように押しあてて、取付ボルトを推奨のトルク(LMレールの推奨締付トルク参照)で締付けます。(図22)
    • ボルトにせりがないか確認します。
    • ボルト締付けは中央から両端に向け、トルクレンチを使用して、順序よく締付けます。
  • テーブルにLMブロックをセットし、LMレールに組込みます。この時LMブロックの取付ボルトは、仮締めしておきます。
  • すきま調整ねじを交互に順次締付けて、すきま調整を行います。なお、特に高剛性を得るために予圧を十分に与える場合は、締付トルクか、転がり抵抗値で管理します。
    a. すきま調整ねじは、図23のようにLMブロック1個に対し、3箇所とするのが良好です。
    b. 3本のすきま調整ねじの締付トルクは、両端のねじを中央のねじよりやや弱く90%程度にすることで、良好な結果が得られます。
  • テーブルを動かしながら仮締めしておいた2本のLMブロック取付ボルトを、交互に徐々に締付けてLMブロックを固定します。(図24)
すきま調整例

すきま調整ねじは、LMブロック側面の中央部を押すように設計してください。

  • a. 調整ねじ使用
    通常の場合は、調整ねじでLMブロックを押します。
  • b. テーパギブ使用
    高精度、高剛性を必要とする場合、テーパギブ1、2を使用します。
  • c. 偏心ピン使用
    偏心ピンですきま調整するタイプも製作します。

GSR形組付要領

GSR形の組付要領を下記に示します。

  • テーブルをLMブロック基準面に突きあて、本締めし固定します。テーブル両側には、突きあて面を設けます。(図25)
  • ベース上にLMレールAを置き、ストレートエッヂにならわせます。トルクレンチを用い、本締めします。(図26)
  • ベースにLMレールBを仮止めし、ブロックを挿入します。LMレールBをブロック側に押し付けながら、仮締めします。(図27)
  • テーブルを数回ストロークさせ、LMブロックをなじませながら、LMレールBをトルクレンチを用い本締めします。(図28

また、組付数量の多い場合には、図29のような治具を製作しLMレールの平行度を出しながら取付けると簡単です。

JR形組付要領

LMレールの取付要領

図30のようにして軸平行で使用する場合、1軸をベースに固定した後LMブロック上面にダイヤルゲージをセットし、残り1軸のLMレール側面および上面にあてて平行とレベル調整を同時に行い、取付けてください。

LMレール継ぎ要領

LMレール継ぎ仕様でご使用の場合、図31のような金具が用意されていますので、ご指示ください。(レールには継ぎ金具取付用のタップ加工します)

取付方法

  • レール押えのボルトを仮締めします。
  • レールAと継ぎ用金具をボルトC、Dにて固定します。
  • レールA、Bの継ぎ部側面GにダイヤルゲージをあてレールB側のボルトE、止めねじFにて左右の段差を調整します。ボルトEを締めるとレールBはb側に動く止めねじFを締めるとレールBはa側に動く
  • 止めねじFにて調整が終わりましたら止めねじFをナットにて固定します。
  • 上下方向をレール押えにより調整し固定します。
LMレール溶接組付要領

LMレールを溶接する場合は、溶接する場所を右図32のような小型バイス等で固定しながら溶接するのが最適です。溶接の際は下記の溶接条件を推奨します。(なお、LMレール転動面に溶接時のスパッタがつかないように注意してください。)

[溶接条件]
予熱温度 200℃
後熱温度 350℃

注)750℃をこえると再焼入の危険性があります。

[被覆アーク溶接の場合]
溶 接 棒 LB-52(株)神戸製鋼所
[炭酸ガスアーク溶接の場合]
ワイヤー YGW12
電 流 200A

HCR形組付要領

RガイドのLMレールの取付けは、LMレールの基準面側(内側)に突きあて(ピン等の突きあてでもかまいません)を設け、その突きあて面にLMレールを押しつけ反基準面側からおさえ板などで押しあてる方法を推奨します。