リニアブッシュの組付け

ハウジング内径寸法

リニアブッシュの推奨ハウジング内径公差を表1に示します。ハウジングとのはめあいは通常すきまばめで、すきまをおさえる場合は中間ばめとします。

表1 ハウジング内径公差
形式 ハウジング
呼び形番 精度 すきまばめ 中間ばめ
LM 上級(無記号) H7 J7
精密級(P) H6 J6
LME H7 K6、J6
LMF 上級(無記号) H7 J7
LMK
LMH
LM-L
LMF-L
LMK-L
LMH-L
LMIF
LMIK
LMIH
LMIF-L
LMIK-L
LMIH-L
LMCF-L
LMCK-L
LMCH-L

外筒とLMシャフトのすきま

リニアブッシュをLMシャフトと組合わせて使用する場合、通常普通すきまで、すきまをおさえる場合は緊密すきまとします。

注1)取付後のすきまをマイナスにする場合、寸法表中のラジアルすきま許容値をこえないことが望まれます。

注2)ケースユニットSC形、SL形、SH形、SH-L形の軸公差は、上級(無記号)に準じます。

表2 軸外径公差
形式 LMシャフト
呼び形番 精度 普通すきま 緊密すきま
LM 上級(無記号) f6、g6 h6
精密級(P) f5、g5 h5
LME h7 k6
LMF 上級(無記号) f6、g6 h6
LMK
LMH
LM-L
LMF-L
LMK-L
LMH-L
LMIF
LMIK
LMIH
LMIF-L
LMIK-L
LMIH-L
LMCF-L
LMCK-L
LMCH-L

外筒の取付け

LMシャフト方向の固定強度はさほど必要ありませんが、打込みだけで保持させることは避けてください。ハウジングの内径公差は上記 表1をご参照ください。

標準形の取付け

取付例を図1、図2に示します。スナップリング、止め板などで固定します。図3のように、外筒の外径を1本の押しねじで押しつけて固定する方法は、外筒の変形を生じますので避けてください。

取付用止め輪

標準形LM形の固定用止め輪は、表3の形式の止め輪が使用できます。

注1)( )はC形同心止め輪をご使用ください

注2)表3はLM、LM-GA、LM-MG、LM-L形共通です。

表3 止め輪の形式
止め輪
呼び形番 外径用 内径用
ニードル止め輪 C形止め輪 ニードル止め輪 C形止め輪
LM 3 AR 7
LM 4 8
LM 5 WR 10 10 10 10
LM 6 12 12 12 12
LM 8 15 15 15
LM 8S 15 15 15
LM 10 19 19 19 19
LM 12 21 21 21 21
LM 13 23 22 23
LM 16 28 28 28
LM 20 32 32 32
LM 25 40 40 40 40
LM 30 45 45 45 45
LM 35 52 52 52 52
LM 38 56・58 57
LM 40 60 60 60
LM 50 80 80 80
LM 60 90 90 90
LM 80A 120 120 120
LM 100A (150) 150
LM 120A (180) 180

外筒の組込み

標準形をハウジングへ組込む場合に、側板やシールを直接たたかないよう治具を用いて均等に打込むか、またはあて金を用いて軽く打込むようにしてください。(図4参照)

すきま調整形の取付け

すきま調整形(-AJ)のすきま調整は外径調整可能なハウジングを使用し、リニアブッシュとLMシャフトとのすきまを容易に調整できるようにします。このとき、リニアブッシュの切割りは、ハウジングの切割りに対して90°の位置にすると、円周方向に均一な変形を与えることができます。(図5参照)

開放形の取付け

開放形(-OP)も図6に示すように、すきま調整可能なハウジングを使用します。
開放形は通常軽い予圧で使用します。過大予圧にならぬよう注意してください。

開放形3条列リニアブッシュの取付上の注意

開放形3条列リニアブッシュの取付けは荷重分布を考慮して、図7のように組込んでください。

フランジ形の取付け

LMF形、LMK形、LMH形、LMIF形、LMCF形、LMIK形、LMCK形、LMIH形、LMCH形はフランジと外筒一体形なので、フランジのみでの固定が可能です。

ただし、LMJK形の取付けは外筒インロー取付けとなります。フランジのみでの取付けは避けてください。

LMケースユニットの取付け

SC(SL)形の取付け

SC形、SL形は上下方向どちらからでもボルトで締結することができます。(図8参照)

SH(SH-L)形の取付け

SH形、SH-L形は上下、左右方向どちらからでもボルトで締結することができます。(図9参照)

シャフトサポートの取付け

シャフトサポートSK形はテーブルに取付ボルトで容易に固定でき、LMシャフトの取付けは締付ボルトで強固に締付けることができます。

LMシャフトの挿入

リニアブッシュにLMシャフトを挿入する場合、LMシャフトをこじった状態で挿入するとボールが脱落したり、リテーナを変形させますので芯を合わせて静かに組込んでください。(図10参照)

モーメント負荷時には

リニアブッシュはボール転動面全長にわたり均等な荷重を受けるようご使用ください。特にモーメント荷重が作用する場合は1本のLMシャフトに2個以上のリニアブッシュを使用するようにし、各リニアブッシュの取付間距離はできるだけ大きくとるようにしてください。
また、モーメント負荷で使用する場合は等価ラジアル荷重を算出し、形番の確認を行ってください。(定格荷重と定格寿命参照)

回転使用は不可

リニアブッシュは構造上回転運動には適しません。(図11参照)
無理に回転させると思わぬ事故の原因となりますのでご注意ください。

フェルトシールFLM形の取付け

フェルトシールはH7に仕上げられたハウジングに圧入保持できますが、リニアブッシュの抜止めにはなりませんので図12のように組付けてご使用ください。
組付ける前にフェルトには十分潤滑剤を含浸させてください。

取付手順とメンテナンス