静的安全係数

基本静定格荷重(C0)とは、最大荷重を受けているローラーと転動面との接触部中央における計算接触応力が、4000MPaになるような方向と大きさの一定した静止荷重をいいます。(これ以上の接触応力となった場合、回転に支障をきたします。)この荷重は寸法表中C0として表されており、静的または動的に負荷される荷重に対し、つぎのような静的安全係数を考慮する必要があります。

fS C0に対する静的安全係数(表1参照)
C0 基本静定格荷重 (kN)
P0 ラジアル荷重 (kN)

許容荷重(F0)とは、カムフォロアのスタッド部の強度によって決まる負荷荷重の許容値です。このためfSとともに、F0に対する静的安全係数fMを考慮する必要があります。

fM F0に対する静的安全係数 (表1参照)
F0 許容荷重 (kN)
P0 ラジアル荷重 (kN)
  • ※  静的安全係数の下限値は、良好な潤滑が確保でき、理想的な取付条件で組み立てることを前提とした値です。取付部材の取付誤差及び変形などにより発生する内部荷重については算出することが困難であるため計算に考慮することが出来ませんので十分な安全を確保してください。
表1   静的安全係数(fS、fM
荷 重 条 件 fS、fMの下限
普通荷重 1~2
衝撃荷重 2~3

定格寿命の算出

定格寿命(L10)は基本動定格荷重(C)とカムフォロアに負荷する荷重(PC)から次式により求められます。

L10 定格寿命 (rev.)
C 基本動定格荷重 (kN)
PC ラジアル荷重 (kN)

使用条件を考慮した定格寿命の算出

実際の使用では稼動中に振動や衝撃を伴う場合が多いため、カムフォロアへの作用荷重の変動が考えられ正確に把握することは容易ではありません。また、使用環境温度も寿命に大きく影響します。
これらの条件を考慮すると、次式(2)により使用条件を考慮した定格寿命(L10m)を算出することができます。

使用条件を考慮した係数 α
α 使用条件を考慮した係数
fT 温度係数 (図1参照)
fW 荷重係数 (表2参照)
使用条件を考慮した定格寿命 L10m
L10m 使用条件を考慮した定格寿命 (rev.)
C 基本動定格荷重 (kN)
PC ラジアル荷重 (kN)
  • ※  カムフォロアの基本動定格荷重(C)とは、一群の同じカムフォロアを個々に運動させたとき、定格寿命が106revとなるような方向と大きさの変動しないラジアル荷重をいいます。この値は寸法表中に記載してあります。

寿命時間の算出

定格寿命(L10)が求められると寿命時間(Lh)は次式により求められます。

直線運動の場合
Lh 寿命時間 (h)
L 定格寿命
D 軸受外径 (mm)
S ストローク長さ (mm)
n1 毎分往復回数 (min-1
  • 注)  通常の使用温度は80℃以下です。それ以上の使用温度のときはTHKにお問い合わせください。
円運動の場合
D1 カムの外輪接触平均直径 (mm)
n カムの毎分回転数 (min-1
表2   荷重係数(fW
使 用 条 件 fW
衝撃のない円滑運動の場合 1~1.2
普通運動の場合 1.2~1.5
衝撃の激しい場合 1.5~3