静的安全係数
ボールスプラインの使用に際しては、各方向の計算荷重と基本静定格荷重から定義される静的安全係数を考慮する必要があります。特に、起動停止が激しい場合や衝撃荷重が作用する場合、オーバーハング荷重によるモーメントやトルクが大きく作用することがあります。形番を選定する際には、その最大荷重(停止時、動作時に関わらず)に対して十分な静的安全係数が確保されているかどうか確認する必要があります。また、静的安全係数は、各荷重方向で確認される必要があり、式(9)および式(10)に基づき、ラジアル荷重では基本静定格荷重に対する、モーメント荷重では基本静定格トルクに対する静的安全係数が求められます。 表7 に静的安全係数の目安を示します。
※1 基本静定格トルクとは最大応力を受けている接触部において、ボールの永久変形量と転動溝の永久変形量との和が、ボールの直径の0.0001倍になるような方向と大きさの一定した静止トルクをいいます。
※2 基本静定格荷重とは最大応力を受けている接触部において、ボールの永久変形量と転動溝の永久変形量との和が、ボールの直径の0.0001倍になるような方向と大きさの一定した静止荷重を言います。
※3 最大負荷トルクTmax 、最大負荷荷重Pmaxには、負荷荷重に示されるTCおよびPCの走行サイクル中の最大値が適用されます。
表7 静的安全係数(fs)の目安
荷重条件※ | fsの下限 |
---|---|
振動・衝撃がない場合 | 3~ |
振動・衝撃が作用する場合 | 5~ |
※一般に振動・衝撃が作用する要因としては、加減速、急激な稼動停止、外部の装置あるいは機械からの振動・衝撃の伝達、加工力の時間的な変化等が考えられます。