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IoTに使用されるセンサとは?

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センサとは?

ある対象の情報を収集し、機械が取り扱うことのできる信号に置き換える素子や装置。センサには物理的な現象の測定や、大気中のガス/溶液などの組成を調べるセンサがあります。

IoTで良く使われているセンサの種類

様々な種類がありますが、ここではIoTで使われている主要なセンサについてご紹介します。

✓ 光センサ
光の強弱を検知して電気信号に変換するセンサ。(人感センサ、サーモグラフィなど)

✓ 音センサ
音の振動を計測するセンサ。(マイクロホン、録音機器など)

✓ 温度センサ
温度を測定し、電気信号に変換するセンサ。(エアコン、異常な温度発生の検知システムなど)

✓ AEセンサ
物体が変形・破損もしくは衝撃が加わった際に生じる音響の放射を検知するセンサ。(主に製造装置)

✓ 電流センサ
電流を測定するセンサ。(産業用ロボット、太陽光発電システムなど)

✓ 加速度センサ
重力、動き、振動、衝撃を測定する事のできるセンサ。(エアアバック、多関節ロボットなど)

製造業IoTでよく使われているセンサの例

製造現場ではIoTの普及により「設備の稼働状態の把握」や「予兆保全」など様々な分野でセンサが使われています。

ここでは製造現場でよく使われているセンサについてご紹介します。

1. 振動センサ
2. AEセンサ
3. 電流センサ

1. 振動センサ 

主に工作機械の予兆保全や研究開発の製品試験、耐久試験などに使用されています。

 振動センサ
 非接触型  接触型
 変位  変位  速度  加速度
◎渦電流式
・静電容量式
・光学式
・差動トランス式
◎ひずみゲージ式 ◎動電式 ◎圧電式
・動電式
・ひずみゲージ式
・半導体式
  • 「◎」は特に多く使用されています。

渦電流式変位センサ(周波数帯域:数10Hz~数100Hz)

センサ内部のコイルに高周波の電流を流し、磁界を発生させ、金属の対象物との距離を測定します。

長所
  • 高精度、高速応答
  • 耐環境性
  • 小型
短所
  • 測定周波数帯域が狭い
  • 測定対象が金属のみ

動電式速度センサ(周波数帯域:数10Hz~数100Hz)

センサ内部のコイルとマグネットが誘導起電力を発生させ、振動を測定します。

長所
  • 安価で取り付け容易
  • 高感度、高安定
  • 殆どの材質が対象
短所
  • 測定周波数帯域が狭い
  • 質量、面積が比較的大きい

圧電式加速度センサ(周波数帯域:数Hz~数10kHz)

センサ内部の圧電素子が圧電効果により電気信号を発生させ、振動を測定します。

長所
  • 安価で取り付け容易
  • 高感度、広帯域対応
  • 小型、軽量
短所
  • 共振する可能性がある

2. AEセンサ

特殊な圧電素子により、圧力が加わることで電圧を出力し、AE波(数10kHz~数MHzの音響信号)を検知することができます。

AEセンサ
狭帯域型 広帯域型
狭帯域(共振型)AEセンサ
特定の周波数で好感度となる
モーターの劣化予知保全、パイプなどの
金属溶接の不良検出などに用いられる。
広帯域センサ
広い周波数範囲で一定感度となる
製品内部の異物検知や、地盤の地滑り前兆を
検知することなどに用いられる。
長所
  • 劣化の初期段階を検知できる
  • 取付の方向性がない
短所
  • ノイズに影響されやすい(⇄高感度)
  • 低周波が見れない(⇄高周波)
  • 高価

Tips:AEセンサと振動加速度センサ

AEセンサ:数10kHz~数MHz➡材料変形、き裂などの弾性波を捉える ➡初期段階の異常を捉える
振動センサ(加速度):数Hz~数10kHz➡材料変形、き裂による装置の振動を捉える ➡精密な診断を行う

3. 電流センサ

主に電力変換装置の制御や過電流の検出・電流値の測定に使用されています。

電流センサ
狭帯域型 広帯域型
シャント抵抗+高速アンプ式  コアあり式  コアなし式

シャント抵抗+高速アンプセンサ(測定範囲:0A~±50A)

シャント抵抗による電圧降下を電流に変換し測定します。

長所
  • 外乱磁場多い環境でも使用可
  • 安価
短所
  • 部品数が多い
  • 抵抗の電力損失により発熱し易い

磁場検出型コアありセンサ(測定範囲:0A~±2000A)

コアに発生する磁場の大きさから電流値を測定します。

長所
  • 抵抗値が小さく発熱が小さい
  • 部品数が比較的少ない
短所
  • 外乱磁場が多い環境では使用不可
  • 実装面積が大きい

磁場検出型コアなしセンサ(測定範囲:0A~±50A)

電流のまわりに発生する磁界をホール効果で電圧に変換し、電流値を測定します。

長所
  • 構造が簡易で低コスト
  • 磁気ヒステリシス誤差がない
短所
  • 外乱磁場が多い環境では使用不可
  • 電力損失大きく、発熱し易い
  • 大電流の測定不可
  • 周波数帯域が狭く、感度が低い

センサの選定のポイント

Point 1 :仕様と入手性

精度や周波数、消費電力により、価格や大きさも異なります。また、衝撃や半導体部品の劣化により、センサ本体が破損する可能性があるため、入手性も重要です。

Point 2 :設置方法

設置場所は測定結果に大きく影響します。可動部か固定部かにより配線にも注意が必要です。接着剤または磁石、ねじによる固定など、固定方法も様々です。外部からの衝撃や振動等が測定結果に影響するため、設置方法には十分な配慮が必要になります。

Point 3 :使用環境

周囲環境が低温または高温であれば、温度によって使用できないセンサもあります。また水や油がかかるような環境での接着剤剥がれなど接着方法により設置できない可能性もあります。使用環境をよく確認する必要があります。