ボールねじ
ボールねじは、ねじ軸とナット間でボールが転がり運動をするため高い効率が得られる送りねじです。
従来のすベりねじに比ベ駆動トルクが1/3以下になり、駆動モータの省電力化にも最適です。
種類
特長
すべりねじに比べ駆動トルクが1/3になる
ボールねじは、ねじ軸とナット間でボールが転がり運動をするので高い効率が得られ、従来のすべりねじに比べ駆動トルクが1/3以下になります。(図1、図2)従って回転運動を直線運動に変えることだけでなく、直線運動を回転運動に変えることも容易にできます。
リード角の算出
β | :リード角 | (°) |
dP | :ボール中心径 | (mm) |
Ph | :送りねじのリード | (mm) |
推力とトルクの関係
推力またはトルクを与えたときの発生トルクまたは発生推力は(1)~(3)式により求められます。
● 推力を得るための駆動トルク
T | :駆動トルク | (N・mm) |
Fa | :案内面の摩擦抵抗 | (N) |
Fa=µ×mg | ||
µ | :案内面の摩擦係数 | |
g | :重力加速度 | (9.8m/s2) |
m | :搬送物の質量 | (kg) |
Ph | :送りねじのリード | (mm) |
η1 | :送りねじの正効率 | (すべりねじに比べ駆動トルクが1/3になる 図1参照) |
● トルクを与えたときの発生推力
Fa | :発生推力 | (N) |
T | :駆動トルク | (N・mm) |
Ph | :送りねじのリード | (mm) |
η1 | :送りねじの正効率 | (すべりねじに比べ駆動トルクが1/3になる 図1参照) |
● 推力を与えたときの発生トルク
T | :発生トルク | (N・mm) |
Fa | :入力推力 | (N) |
Ph | :送りねじのリード | (mm) |
η2 | :送りねじの逆効率 | (すべりねじに比べ駆動トルクが1/3になる 図2参照) |
駆動トルク算出例
質量500kgのものを有効径:33mm、リード:10mm(リード角:5°30')のねじで動かすのに必要なトルクはつぎのようになります。
転がり案内(μ=0.003)
ボールねじ(μ=0.003より効率η=0.96)
案内面の摩擦抵抗
Fa=0.003×500×9.8=14.7N
駆動トルク
転がり案内(μ=0.003)
すべりねじ(μ=0.2より効率η=0.32)
案内面の摩擦抵抗
Fa=0.003×500×9.8=14.7N
駆動トルク
高精度を保証する
ボールねじは厳しく温度管理された工場で、最高水準の設備機械によって研削され、組立、検査に至るまで徹底した品質管理体制のもとで精度保証されています。
[条 件]
使用形番:BIF3205-10RRG0+903LC2
項 目 |
規 格 値 |
実 測 値 |
---|---|---|
方向性目標値 |
0 |
- |
代表移動量誤差 |
±0.011 |
-0.0012 |
変 動 |
0.008 |
0.0017 |
微動送りができる
ボールねじはボールによる転がり運動のため起動トルクが極めて小さく、すべり運動のようにスティックスリップを起こさないので、正確な微動送りができます。
図4はボールねじで1パルス0.1μm送りをさせたときの移動量です。(案内面はLMガイド使用)
バックラッシがなく剛性が高い
ボールねじは、予圧を与えられるので、予圧により軸方向すきまをゼロ以下にでき、高い剛性が得られます。図5で軸方向荷重を(+)方向に加えるとテーブルは(+)側に変位します。また軸方向荷重を逆(-)方向に加えるとテーブルは(-)側に変位します。軸方向荷重と軸方向変位量の関係を図6に示します。図6よりわかるように、軸方向荷重の方向が変わると軸方向すきまが変位量として表れます。また、軸方向すきまゼロに対してボールねじに予圧を与えると、剛性が高くなり軸方向変位量が小さくなります。
高速送りができる
ボールねじは効率が高く発熱が小さいので、高速送りができます。
高速例
大リード転造ボールねじを使用し2m/sで使用した場合の速度線図を図7に示します。
項 目 |
内 容 |
---|---|
試料 |
大リード転造ボールねじ WTF3060 (軸径30mm、リード60mm) |
最高速度 |
2m/s (ボールねじ回転数:2000min-1) |
案内面 |
LMガイド SR25W |