実際の使用においては、特に急激な起動停止、切削荷重による振動、オーバーハングによる大きなモーメント荷重等によりクロスローラーリングに予想を超える大きな荷重が作用し、破損につながることがあるため、静的安全係数fsを考慮する必要があります。静的安全係数fsは負荷荷重と基本静定格荷重の関係から次式で求められます。表3に静的安全係数の目安を示します。

fS 静的安全係数 (表1参照)
C0※1 基本静定格荷重 (N)
P0 静等価ラジアル荷重 (N)
表1 静的安全係数(fs)の目安
荷重条件※2 fsの下限
振動・衝撃のない場合 2〜
振動・衝撃が作用する場合 5〜
  • ※1 基本静定格荷重C0とは、最大荷重を受けているローラーと転動面との接触部中央における計算接触応力が4000MPaになるような方向と大きさの一定した静止荷重をいいます。(これ以上の接触応力となった場合、回転に支障をきたします。)この荷重は寸法表中C0として表されております。
  • ※2 一般に振動・衝撃が作用する要因としては、加減速、急激な稼動停止、外部の装置あるいは機械からの振動・衝撃の伝達、加工力の時間的な変化等が考えられます。
  • ※3 静的安全係数の下限値の目安は上表の値となりますが、寿命等の動的性能を考慮し7以上確保することを推奨します。

静等価ラジアル荷重 P0

クロスローラーリングの静等価ラジアル荷重は次式により求められます。

P0 静等価ラジアル荷重 (N)
Fr ラジアル荷重 (N)
Fa アキシアル荷重 (N)
M モーメント (N・mm)
X0 静ラジアル係数 (X0=1)
Y0 静アキシアル係数 (Y0=0.44)
dp ローラーのピッチ円径 (mm)