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ソリューション提案事例:接触時高さ判定の有効利用について

CASE STUDY
  • ワーク
  • 課題解決

はじめに

こちらの記事では、お客様から頂いたお問い合わせについて、「PPRではどのように解決できるか」というテーマでご紹介していきます。

今回のお問い合わせはこちらです。
「ワークが2枚重なってしまうことがあり、重なった状態でP&Pすると、ワークを破損してしまう。2枚重なった状態でもワークダメージを抑えたい。また、2枚重なっていたかどうかを判定したい。」
「ワークがトレイからズレて、傾いてしまう等正しい姿勢になっていないことがある。この時、ノズルが接触するとワークを破損してしまう。ワークが傾いた時をNGとして判定したい。」

どちらも、ワークの高さが安定しない状態で、ワークを破損させずにP&Pしたい。もしくはNG判定したいというご要望です。
さて、どういった方法があるでしょうか。

PPRが上位装置に送信できる内部データ

まず前提としてご紹介しなければいけないことがあります。PPRでは上位のPCやPLCに対して、PPR内部のセンサデータをサイクリック通信で随時送信することが出来ます。送信できるデータとしては、「Z軸位置・速度・電流」「θ軸位置・速度・電流」「力センサ」「圧力センサ」「流量センサ」などがあります。これらは最速で500μsec/2kHzの周期で上位へと送信され、PC/PLC側では他の装置との制御と合わせて利用することが出来ます。

[上位へと送信できるデータの例]
Z軸現在位置
Z軸指令位置
Z軸現在速度
Z軸指令速度
Z軸現在電流
Z軸指令電流
θ軸回転回数
θ軸現在位置
θ軸指令回数
θ軸現在速度
θ軸指令速度
θ軸現在電流
θ軸指令電流
力データ
圧力データ
流量データ

PPRの接触停止機能について

次にご紹介するのは、PPR内蔵の力センサを利用した「接触停止」の機能です。PPRはZ軸の駆動源としてリニアモータを使用しています。位置センサには光学式のリニアエンコーダを使用しており、1μm精度の精密な上下動作が可能です。「位置制御」時には、エンコーダの位置情報を用いたフィードバック制御で動作します。
ここで、内蔵する力センサは、Z軸方向に出力シャフトにかかる負荷を力のデータとして検出することが出来ます。PPRではワークに当たる直前にはリニアモータを"ゆっくり"動作させ、ワークに接触する時の力を検出した瞬間に、リニアモータを停止し、ワークへの衝撃力を最小限に抑えることが出来ます。

そして、合わせてご紹介しておきたいのが「ステップ完了」という機能です。PPRは先にご紹介した「接触停止」や内蔵電磁弁を操作する「吸着(エア駆動:負圧)」そしてこれまた内蔵の圧力センサを利用した「吸着判定」といった動作を自律的に実行します。その中で、どのステップ(手順)まで実行したかを上位のPC/PLC側に知らせることができます。

接触停止機能を利用した高さ判定

以上の機能を組み合わせると、①ワークへのアプローチは「接触停止」を使用しダメージを抑える。②「接触停止」した時点のステップ完了を上位に通知する。③上位PC/PLC側で通知された時点の「Z軸位置」の情報からOK/NGを判定する。
といった判定が出来そうです。

「高さ判定」を実現する具体的なシーケンス例

実際のPPRのシーケンスの組み方は、以下のようになります。
下記はピック時に高さ判定する例です。
1.シーケンス①:ピック動作。初期位置からワーク接触直前までは位置制御で移動。ワーク接触前は低速で動作し、「接触停止」する。吸着弁を開け、吸着判定した後、上昇する動作とする。このとき、ステップ完了機能により「接触停止」のステップが完了した時に信号を出すようにする。
※ワーク接触までを1シーケンスとする。などのカスタマイズも可能です。

詳しいシーケンスの設定や動作に関するアイデアについては、ご相談頂ければサンプルシーケンスを作成する等の対応も可能です。
こちらの記事をご覧になった皆さんの、工程改善の一助となることが出来れば幸いです。