静的安全係数
実際の使用においては、特に急激な起動停止、切削荷重による振動、オーバーハングによる大きなモーメント荷重等によりLMガイドに予想を超える大きな荷重が作用し、破損につながることがあるため、静的安全係数(fs)を考慮する必要があります。静的安全係数(fs)は負荷荷重と基本静定格荷重の関係から表9の計算式で求められ、使用条件による静的安全係数の目安を表10に示します。また、静的安全係数(fs)は各方向(ラジアル、逆ラジアル、横方向)それぞれにおいて考慮する必要があります。
表9 荷重方向ごとの静的安全係数の計算式
ラジアル方向荷重 が大きい場合 |
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逆ラジアル方向荷重 が大きい場合 |
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横方向荷重が大きい場合 | ![]() |
表10 静的安全係数(fS)の目安
荷重条件※2 | fSの下限 |
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振動・衝撃のない場合 | 2~ |
振動・衝撃が作用する場合 | 5~ |
fS | 静的安全係数 |
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C0※1 | 基本静定格荷重(ラジアル方向) (N) |
C0L※1 | 基本静定格荷重(逆ラジアル方向) (N) |
C0T※1 | 基本静定格荷重(横方向) (N) |
PR | 計算荷重(ラジアル方向) (N) |
PL | 計算荷重(逆ラジアル方向) (N) |
PT | 計算荷重(横方向) (N) |
fH | 硬さ係数(使用条件を考慮した定格寿命の算出図8参照) |
fT | 温度係数(使用条件を考慮した定格寿命の算出図9参照) |
fC | 接触係数(使用条件を考慮した定格寿命の算出表10参照) |
- ※1
基本静定格荷重とは最大応力を受けている接触部において、転動体の永久変形量と転動面の永久変形量の和が転動体直 径の0.0001になるような方向と大きさの一定した静止荷重を言います。
- ※2
一般に振動・衝撃が作用する要因としては、加減速、急激な稼動停止、外部の装置あるいは機械からの振動・衝撃の伝達、 加工力の時間的な変化等が考えられます。