事業戦略 産業機器事業
2025年度を振り返って
2025年度は、売上収益2,404億円(前期比7.9%増)、営業利益144億円(前期比9.3%減)と、増収減益になりました。地政学リスクの高まり、インフレの進行、米国の関税政策等により外部環境が不透明となる中でも、中国と米国における需要は好調に推移しました。一方で、日本や欧州における需要は振るわず、特に日本については回復を期待していた半導体関連を中心に期初の想定よりも弱含んで需要は推移しました。営業利益については、売上収益が増加した一方、セールスミックスの悪化、米国関税の影響、持分法投資損失、構造改革に伴う費用、各種コストの上昇等、様々なマイナス要因がありました。さらに、輸送機器事業の株式および債権譲渡に伴い816億円を事業整理損失として計上した結果、当期利益は698億円の損失となりました。今後は経営リソースを産業機器事業へ集中投入し、さらなる成長を図ってまいります。
そのような中、営業面では機械要素部品ビジネスにおいて、国や地域によって需要の動き方が異なる中で、各地域における情報をグローバルで連携しながら重点分野における需要を開拓してきました。開発面では、お客様との接点を増やしながらニーズを収集し、限られた開発リソースを適切に配分しながら、その解決策を見出し、新製品をスピーディに市場投入できる仕組みを構築しました。生産面では、構造改革の道筋に沿って、高収益を安定して創出できる筋肉質な体制への転換を図りました。
新経営方針に沿った、今後の戦略・施策
新経営方針のもと、産業機器事業における構造改革においては、実行に際してモニタリングを徹底し、数字が足りなければさらなる施策を追加する等、PDCAにより、その実効性を高め筋肉質な体質への変革を図っています。
成長戦略においては、フィジカルAIが世界中のものづくりにおいて、今後広がっていく中で、3本の柱である「グローバル展開」「新規分野への展開」「ビジネススタイルの変革」をより研ぎ澄ませ、ビジネス領域のさらなる拡大を図っています。そのような中、機械要素部品ビジネスにおいては、これまでの事業基盤を活かしながら、特に成長が期待される半導体を中心とした重点7分野においてグローバルでタスクフォースを組み、業界・地域ごとのニーズに対して、きめ細かな対応が可能になってきています。また、グローバルの最先端分野におけるニーズの発掘とそれを反映する仕組みを強化すべく、開発部門の組織変更を実施したこと等により、企画・開発件数が、今後大幅に増加する見込みとなっています。さらに、これまでの研究開発のバックデータを活かしながら、開発期間を3分の1に短縮すべく、様々な施策を進めていく中で、2026年は前年比2倍以上の製品数を上市できる予定です。このようにして、グローバルブランド力を最大限に活用して「売って、創って、作って」を高速回転させ、トップラインの拡大と収益性の向上により、利益を最大化させるべく取り組んでいます。
FAソリューションビジネスにおいては、自働化、労働力不足、サステナビリティ等、様々な社会課題が製造現場で複雑化していくなかで、マシンビルダーに加え、その先に存在する広範なマシンユーザーのニーズに対応すべく、メカトロ・モジュール、IoT・AIを成長領域と定め、新たな製品やサービスを展開してきました。まだ規模は小さいものの、前年比で売上が倍以上に拡大している新製品もあり順調に拡大しています。今後については、フィジカルAIが進展する中で、工場全体において、AIがシミュレーションと現実のハードウェアの制御、さらには学習をして、製造を24時間365日担う、ソフトウェア・デファインド・ファクトリーの到来が期待されています。これらに必要な要素としては、安定的に稼働するために必要な当社の壊れにくい機械要素部品であり、シミュレーションや学習のためには、あらゆるデータが必要となり当社のIoTサービスで培ったセンシング技術の需要拡大も見込まれます。さらに、アクチュエータ技術、センシング技術、制御技術を合わせもったスマートサブシステムの開発に注力することで、フィジカルAIの世界を支えながら持続的な事業成長を図っていきます。
これらを達成すべく、人的資本を最大化させる取り組みも強化しています。具体的には業績に連動した賞与ファンドの見直し、人事制度における評価フィードバックの強化や評価プロセスの透明性の向上等に取り組みました。今後についてはPMVVの共感を図りながら、報酬面ではメリハリを重視した新制度へ移行、評価制度の改定、キャリアパスの明確化、エンゲージメントサーベイによる従業員満足度の把握と向上策の実施、タレントマネジメント導入による従業員スキルの向上等、さらに加速していきます。このように様々な改革を推し進め、「頑張って成果を出した人が、より報われる会社」へと変革することにより、持続的な企業価値向上の基盤を構築していきます。