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社外取締役メッセージ

今後も市場から選ばれるTHKであり続けてほしい。

社外取締役

当社が打ち出した新たな経営方針を実践・実現していくには「市場に選ばれる製品」の創造が不可欠です。そのためには付加価値が高く、競争力のある製品の開発・製造・販売に、リソースを集中させる必要があります。また「売上だけでなく利益や利益率も同様に重要」という意識で業務改善に取り組むことも大切です。
社員の皆さんが危機感を共有しつつ創意工夫をこらし、アイディアを生み出すためには、誰もが思ったことを気兼ねなく言えて、各自の意見がリスペクトされるような、風通しの良い組織風土の醸成も重要条件だと思います。
各事業の展開においては、一旦決めた施策であっても常に見直しを続け、一定の基準に達しないときには廃止・撤退も躊躇しない、という姿勢を貫いてほしいです。従来の顧客や市場にこだわらず、成長市場に関する情報や、そこで選ばれるための課題を共有し、グループとしての連携をより強化して、多様な分野のビジネスチャンスを確実に捉えてもらいたいです。そのためには、必要なデータや情報に社内のどこからでもアクセスできるインフラ環境の整備も必要でしょう。

私は取締役会の場において、法律分野の専門家として、また、社外の目線での発言を行うことで、重要な意思決定における多角的な検討を促すことを常に意識しております。また、会社の抱えている課題やリスクを知るために、取締役会以外の意見交換会等の場でも、率直な意見を伺うように心がけております。
新経営方針で掲げた新たな目標の達成に向け、今後ますます重要な意思決定が取締役会に求められると思います。これまでの取締役会実効性評価等の過程を通して「リスクも踏まえた議論ができる場」としての下地は培われてきましたが、実効性のさらなる向上には、社外と社内の情報格差を埋めることも重要です。
社外取締役にも様々な情報がタイムリーに共有される方向で改善が進んできましたから、今後も、複数の選択肢やそれぞれのメリット・デメリットといった基本事項についての取締役会メンバーの共通認識を基に、より深い議論や質疑応答のできる場として取締役会がさらに進化していくことを期待するとともに、私自身もその進化に寄与したいと考えております。

これからの当社は、変化の激しい情勢に柔軟に対応しながら、10年後、20年後を自分ごととして見据えた経営が社内外から期待されています。現在の経営層には持続的成長への熱意が強く感じられ、非常に頼もしく思えます。
「市場から選ばれるTHK」であり続けるために、これまで当然視していた様々な運用を見直して、粘り強く取捨選択を繰り返しながら、業務の効率化・活性化を図り、グループ全体として社員が未来に希望を抱きながら生き生きと働ける組織への発展を願っております。

より「居甲斐」のある会社になってほしい。

社外取締役

新たな経営方針として掲げた「ROE10%超の早期実現」に向け、これまで当社は主としてROEの「分母を小さくする」という財務面での対応に注力してきました。これに加えて、今年度の経営計画と“ROE10%超”への道筋で示した目標においては「分子を大きくする」こと、すなわち事業の収益性向上も追求していきます。これには現場の社員一人ひとりの主体的な参画も必要です。当社は一旦目標が決まればアクションの速い会社ですので、経営トップが具体的に分かりやすく社員に説明し、全員の理解を得て有言実行していくことが重要だと考えています。もちろん、一口に社員と言っても一律ではありません。特にミドルマネジメントの共感とそれによるミドルアップ・ダウンの活性化がキーになると思います。
取締役の使命として自分の意見・考えをきちんと述べることは当然ですが、その際に「外」や「上」から見るのではなく、できるだけ「中」に入って会社のファクトを理解し、社員と視点を合わせて見る・考えるべきだと思います。

現会長が長きにわたって社長を務めてきた当社では「社長の指示に従ってさえいれば間違いない」という姿勢が全社的に染みついている印象があります。しかし各現場のファクトを最も深く認識し、それに基づく的確なアクションも取れるのはその部署の責任者です。社長にしかできない仕事があるのと同じく、現場の人にしかできない仕事も必ずあるはずです。その矜持を持って行動してほしいと強く願っています。

企業にとって最も重要な経営資源は、「生き生きした職場でワクワク働く社員」だと私は考えます。当社のトップは明らかにこの方向を志向していますが、社員の力を最大限に引き出すには、人事を経営の視点からだけではなく、働く社員の立場から見ることも重要です。社長交代を契機に、この社員視点の人事がより積極的に進められると私は確信しています。人事を人的資本の視点からではなく、社員のエンゲージメント向上、私の造語ですが「居甲斐(=会社に身を置くことの満足度)」の向上という観点から進めてほしいと願っています。

私は指名諮問委員会の委員長として取締役会構成の見直しや役員報酬制度の見直し等にも関わっています。経営トップの選任や報酬の決定に社外取締役が関与することは、公平性・客観性の担保から必要だと思います。一方で、人事面やパフォーマンス面の評価は、社外の立場からは難しく、むしろ一面的でアンフェアになる可能性もあります。基本は執行部門が自社に必要な人財や業績の評価、報酬の決め方等の方針を俎上に載せて、議論した結果を広く社外のステークホルダーにも説明できるようにすることです。そこには外部の眼も必要だと思います。社外取締役は、本当の意味では会社の「中」に入ることは難しいですが、それぞれが長い経験を持ち、外の情報に通じています。遠慮をせずに、私たちをうまく使ってほしいと思います。

当社の歴史の転換点として新経営方針に期待しています。

社外取締役

当社の今後のビジネス展開において重要なのは、機械要素部品を基盤にメカトロ・モジュールを拡大しつつ、 OMNI edge 等を活用した保守サービスの提供体制を迅速に構築していくことです。これまで多様な業界の課題解決を通して培ってきた豊富なノウハウに、生成AIを組み合わせることで、より最適かつ高度なソリューション提案を実現し、顧客満足度の一層の向上を目指すべきだと考えます。
当社が対象とする顧客の業界についても、工作機械や半導体、ロボットといった季節変動の影響を受けやすい従来の分野から視点を広げ、今後の成長が期待される医療や鉄道、航空機、EV・再生可能エネルギー、物流等の業界に対しても経営リソースを重点的に配分し、顧客の多角化と安定した収益基盤の確立を図る必要があると思います。生産体制においては、地政学リスクの低い地域への海外生産拠点の拡充とともに、原材料の現地調達比率を高める等、生産コストの削減に努めることで価格競争力を強化していくことも重要課題でしょう。

また、持続的な企業成長のためには、自社の事業ポートフォリオ全体を収益性や資本効率の視点から再点検し、重要度の高い製品や技術開発のテーマに経営資源を効果的に振り向けていくような「選択と集中」の推進も不可欠です。さらに販売力強化や生産コスト低減の観点からは、積極的なM&Aの活用も視野に入れることや管理会計のアプローチを拡充して、各事業の収益性を正確に把握し経営判断に活かす体制の整備も求められます。加えて、生成AIの導入や生産の自働化、内外製体制の最適化、材料費比率の低減等、多角的な施策を通して余剰人員や間接・管理部門のリスキリングを進めることで、一人当たりの生産性を向上させることも重要です。

このように、当社の事業全体を収益性や資本効率の視点からレビューし、「選択と集中」の推進状況をモニタリングしていくことが、会計分野での長年の経験や専門知見を有した社外取締役としての私の最重要使命であると認識しています。その前提として、当社および子会社の管理会計と統制環境の運営状況を監督するとともに、企業買収時の財務デューディリジェンスの検証にも尽力したいと思います。
産業機器事業での将来需要への先行投資や輸送機器事業における収益性の改善策、決算期の統一やIFRSの導入、資金の集中管理体制への移行等、これまで当社が実施してきた財務戦略は、株主・投資家から概ね好評価を得てきました。さらに今回、取締役会での議論を経て打ち出された「ROE10%超・営業利益400億円超」を掲げる新経営方針は、当社の歴史において極めて大きな転換点になる可能性がある、と私は捉えています。取締役の一人として、当社がこれからこの新経営方針を確実に実践していくことを、私もぜひ期待したいと思います。

10年、20年先の「あるべき姿」に向けた変革を加速してほしい。

社外取締役

今回当社が新経営方針の目標の一つに掲げた「ROE10%超」の実現に向けて、コアとなる産業機器事業については「聖域」を設けず、収益性の観点から製品群の見直しや生産体制の最適化を検討し、ビジネスモデルを進化させながら、圧倒的な業界地位の構築を目指してほしいと思っています。一方、市場環境の変化もあって巨額の投下資本に相応した収益確保が難しくなっている輸送機器事業については、あらゆる選択肢を排除せず、期限を切ってこれまでとは次元の異なる「選択と集中」を断行すべき時期に来ていると認識しています。企業が有する経営資源は限られており、資本コストに見合った収益を上げているか?成長ポテンシャルはあるか?等、共通の定量基準を設定し、成長分野や高収益事業に経営資源を傾斜配分していくべきです。これまでの成功体験をいったん忘れ、10年、20年先を見据えた「あるべき姿」と行程を描き、「選択と集中」を果断に実行、加速してもらいたいと思います。

私たち社外取締役には、当社が全てのステークホルダーにとってより強く良い会社になるように協働することが求められます。そのため取締役会では、個別の決議事項や報告事項だけでなく、自社の持続的成長や長期的な企業価値向上に向けた議論を惹起し、多様な視点から発言して、経営陣の目線合わせを促すことに努めています。当社の社外取締役は皆さんそれぞれ専門分野や職域で活躍された豊富な知見と経験があり、専門性と多様性を兼ね備えたバランスの取れた構成になっています。健全なガバナンスを発揮しながら当社の進化、発展を後押ししていきたいと考えています。
私の場合、前職の商社では事業分野が多岐にわたるため経営資源の最適配分に苦心していました。この状況を打破すべく、全社で共通の定量基準を設けて各事業の立ち位置を明確にし、定められたルールに基づいて「選択と集中」の作業を断行し、結果として収益を飛躍的に向上させることができました。もちろん商社と製造業とではアプローチが異なる面もあると思いますが、前職での経験を活かして当社の変革作業をできる限り支援していきたいと考えています。その観点で言うと、当社のリスクマネジメントについては、事業リスクの視点がやや不足しているように感じます。現在世界では各地で地政学リスクが増大しており、BCPに加えて事業リスクシナリオの策定と備えが必要です。また、最大損失シナリオに備えた財務戦略も必要です。これらについても今後は経営上の重要事項として取締役会で議論すべきだと考えています。
私は報酬諮問委員会の委員長も務めています。役員については先般、業績連動比率を高めた報酬体系を策定しましたが、新経営方針である「ROE10%超の早期実現」には、現場の全社員が会社の狙いと意義に共感し、実践していく必要があります。そのため今後は全社目標達成時に全社員に付与される業績連動賞与スキームの導入等も提言していこうと考えています。当社には、創造開発型企業という素晴らしい事業理念とスピード感溢れる行動力があります。変化をチャンスと捉えて変革作業を加速し、新たなステージへと飛躍してもらいたいと思います。